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【怖い話|短編】蠢く影

蠢く影
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蠢く影

都会の喧騒に疲れた私は、祖父母が遺した田舎の古い一軒家に移り住むことにした。緑豊かな山々に囲まれた静かな場所で、祖父母との思い出が詰まったこの家は、私にとって安らぎの場所となるはずだった。

祖父母の家

しかし、引っ越して間もなく、私はこの家が何かおかしいことに気付いた。

夜になると、家の中で奇妙な音が聞こえるようになったのだ。ミシミシと床がきしむ音、カタカタと何かが動く音、そして時折聞こえる低い唸り声。最初は気のせいだと思っていたが、その音は日に日に大きくなり、回数も増えていった。

ある日の深夜

ある夜、私は恐る恐る音のする方へ近づいてみた。すると、薄暗い廊下を何かが這いずるような音が聞こえ、壁には奇妙な影が蠢いていた。

私は恐怖で身動きが取れなくなった。次の瞬間、影は私の目の前まで迫り、私は悲鳴を上げて逃げ出した。

蠢く影

それからというもの、私は夜になると家の中にいるのが怖くてたまらなくなった。眠ろうとしても、あの影が脳裏に焼き付いて離れない。

私は、藁にもすがる思いで近くの古刹を訪ね、住職に相談した。住職は私の話を静かに聞き終えると、ゆっくりと口を開いた。

「その家には、昔、不幸な死に方をした青年の強い思念が残っているようじゃ。その負の感情が長い年月をかけて蓄積し、形あるものへと変わってしまったのじゃろう。」

住職の教え

住職は一枚のお札を私に手渡し、こう続けた。

「このお札を家の四隅に貼り、毎日仏壇に手を合わせ、彼のために祈りを捧げるのじゃ。そうすれば、彼の魂は安らぎを得て、成仏できるかもしれん。」

私は言われた通りにした。毎朝、仏壇に線香をあげ、青年の冥福を祈った。すると、不思議なことに、あの影は次第に現れなくなっていった。

祈り

ある夜、私は夢を見た。夢の中で、私はあの青年と出会った。彼は穏やかな表情で私に微笑みかけ、こう言った。

「ありがとう。あなたのおかげで、私はもう苦しまなくていい。安らかに眠ることができるよ。」

成仏

目が覚めると、私は涙を流していた。それは、悲しみではなく、安堵の涙だった。

それからというもの、私はあの家で安心して暮らせるようになった。あの影は二度と現れることはなく、家には静けさが戻った。

私は今でも、毎朝仏壇に手を合わせ、青年の冥福を祈っている。

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