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【怖い話|短編】逆さまの幽霊

逆さまの幽霊
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逆さまの幽霊

一昨日の出来事は、今思い返しても背筋が凍るような恐怖だった。俺は高校で野球部に所属していて、その日も例に漏れず朝早くから夜遅くまで練習に明け暮れていた。日が落ちる頃にはもう全身の力が抜け落ちそうで、ただ家に帰ってベッドに倒れ込むことだけを考えていたんだ。

家に帰るとリビングの時計はもう夜9時を大きく回っていた。家族は皆、夕食を済ませTVを眺めている。俺は静かにテーブルで夜食を取り、一日の汗と疲れを洗い流すため浴室に向かった。湯船にゆっくりと身体を沈めれば、いつもはその日の疲れがほぐれていくんだけど、一昨日はなんだか雰囲気が違っていた。

湯船でリラックス

湯船に浸かり、いつものように目を閉じてリラックスしようとした瞬間、ふとした違和感が襲ってきた。目を開けると、浴室の天井近くの角に何か不自然な影があることに気がついた。疲れのせいで見間違えかと思ったが、その影はじわじわと形を変えて動き出したんだ。

心臓がドキドキしてきたが、好奇心が恐怖を上回り、その影をじっと見つめた。すると、その影が徐々に明確な形を取り始め、まるで人間が逆さまに浮かんでいるかのような姿になった。顔は青白く、目は大きく見開かれて真っ黒だった。この世のものとは思えない、不気味な存在がそこにいた。逆さの幽霊だ。

逆さまの幽霊

恐怖のあまり、声も出なかった。しかし、その逆さまの幽霊はゆっくりと手を伸ばし、水面から出ていた俺の足に触れようとしていた。その瞬間、俺は湯船から飛び出し、浴室から脱出した。何も考えられないまま、慌ててリビングに駆け込んだ。

全身が濡れたままでリビングに入ると、家族は一様に俺の姿に驚いた。親父は何が起こったのかと心配そうに見ているし、母親は濡れた床を見て怒っている。弟はただただ俺の姿を見て笑っている。俺は怖くて、怖くて、どう説明していいかわからなかった。最終的に、弟にバスタオルを持ってきてもらい、俺は自室に逃げ込んだんだ。

主人公の部屋

あの夜以来、常に不安がつきまとっている。まるでいつも誰かに見られているような気がしてならない。特に夜になると、その感覚はより一層強くなる。今もこの話をしている間に、何度も後ろを振り返ってしまう。

だから、この話を聞いた君も、もし今夜お風呂に入るときは、ぜひとも天井を見上げてみてくれ。ただし、もし何か逆さまに浮かんでいるものを見つけたら、絶対に目を合わせないでくれ。その視線に捕らわれたら、君も同じ恐怖を味わうことになるから。

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