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【怖い話|短編】違和感のあるコインランドリー

違和感のあるコインランドリー
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違和感のあるコインランドリー

寒空の中、僕は4日分の洗濯物を抱えコインランドリーに向かった。

来週の期末試験に向けて勉強していたため、今は深夜2時。コインランドリーは徒歩5分ぐらいの場所にある。そのコインランドリーは古く、機材もひと昔前のものに感じるが、その分利用する人も少なく、僕はこの時間が割と好きだ。だが、その夜は何かがおかしかったんだ。

寒空の下への道のり

コインランドリーに入ると、奥の洗濯機が一台だけ動いているのが見えた。普段この時間帯は他に誰もいないはずだが、その洗濯機の前に老婦人が立っていた。深夜に一人で洗濯をする老婦人なんて、僕はここで見たことがない。彼女は僕に気づくと、微笑みながら言った。「あら、こんな時間に若い人が洗濯なんて、珍しいわね。」

老婦人の不思議な出現

僕は少し驚きながらも、「はい、試験勉強で時間が取れなくて…」と答えた。彼女は何も言わずに、再び洗濯機に目を向けた。僕は他の洗濯機に洗濯物を入れ、コインを投入した。洗濯が始まると、僕はベンチに座り、スマホをいじり始めた。

しかし、ふと老婦人が気になって、彼女がいた方を見ると、もうそこには誰もいなかった。ただ洗濯機だけが静かに動いている。不思議に思いながらも、僕は再びスマホに目を向けた。

僕は思わず洗濯物から手を離し逃げようとしたが、我に返りもう一度見返すと、そんなものはなかった。見間違えたのだろうか。

そして洗濯が終わり、乾燥機にかけようと蓋を開けると「うわぁぁぁ」。洗濯したもの全てが血のように赤く染まっていて、洗濯機の下からも赤黒い液体が漏れ足元に広がってきた。

幻覚または現実

混乱し、息を切らしながらもう一度周囲を見渡すと、コインランドリーには僕以外に誰もおらず、ただの洗濯機が静かに回っているだけだった。頭を振って幻覚を払拭しようとするが、心の奥底では何かがおかしいという感覚が拭えない。

「気のせいか…」と自分に言い聞かせながら、洗濯物を乾燥機に移し、そのスイッチを入れた。乾燥機の中で洗濯物が踊る音だけが、この無人のコインランドリーに響いている。

ベンチに戻り、再びスマホをいじり始めるが、心ここにあらずで、老婦人のことや先ほどの出来事が頭から離れない。そして、洗濯を始めてから時間が経つにつれ、部屋が徐々に寒くなってきたような感覚に襲われる。空調が故障しているのかと思いつつ、この深夜にそれを確認する気にもなれず、ただぼんやりと外の暗闇を眺める。

逃走

乾燥が終わり、洗濯物を取り出すとき、ふと、コインランドリーの入口のガラスに何か映っているのが目に入った。振り返るが、やはりそこには誰もいない。ただの自分の反射だったのか。しかし、向き直ると何かが映っている。急ぎ洗濯物をバッグに詰め、コインランドリーを早足で後にした。

家路を急ぐ足取りは重く、背後に何かを感じながらも振り返る勇気はなかった。家に着いてドアを閉めると同時に、深い安堵感に包まれ深いため息をついた。

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