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【怖い話|短編】過去の清算

過去の清算
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過去の清算

これは、私の友人が体験した話です。現在進行形で解決していないそうです。

友人は、ついこの間初めての赤ちゃんを出産しました。彼女と彼女の夫は新しい家を購入し、新しい生活を始めたところです。友人が赤ちゃんと一緒に撮った写真を見ると本当に幸せそうで、私まで嬉しくなります。幸せの絶頂というものでしょうか。

新しい家

しかし、友人の家に一通の手紙が届いた日から、事態は一変しました。

その手紙は古い封筒で、丁寧な綺麗な字で宛名が書かれていました。彼女の夫はその手紙を隠すかのように、すぐに片付けていたので女の勘でしょうか?友人は何か怪しいと疑っていたそうで、友人が夫にその手紙のことを話しても、夫ははぐらかすばかりで、真剣に取り合ってくれなかったようです。

手紙が届く

その後も手紙は頻繁に届き、ある日、夫が不在の日に彼女は無断で封を切り、中の手紙を読んでしまいました。その手紙には「君だけが幸せになれるワケないから」と書かれていました。

彼女は夫の浮気を疑いました。きっと相手が男性のフリをして夫を脅迫しているんだと思ったそうです。彼女は怒りに震え、夫の帰宅と同時に詰問しました。

不安な対話

しかし、事実は違ったようです。彼が言うには「学生時代、虐めを行っていてその相手が自死を選び命を落とした。決して虐めていたワケではないが、死を目の当たりにし、初めて自身が他人を虐めていたことに気づいた。手紙の送り主は、その虐めの被害者なんだ。」と。

夫は大量に送られてきていた手紙を持って部屋から戻ってきました。

その手紙には「君のせいで家族は幸せになることは出来ないよ」「もうすぐその幸せも終わりだね」「君だけは絶対に許さないから」と、恨みが込められた言葉が辛辣に書かれています。最後の手紙には「⚪︎⚪︎霊園に⚪︎月⚪︎日に来い」と呼び出されていました。

友人は、その被害者の親族が嫌がらせを行なっているのだろうと思い、送り主の住所をGoogleで調べましたが、Googleはその霊園を指し示します。友人は混乱しながらも夫と話し合いをしましたが、夫は過去を悔いており、清算することを望んでいたため、当日霊園を訪ねると言います。

引き止めることもできず、友人は心配だったため子供を親に預け、夫と霊園に出向くことにしました。霊園に向かう車中、空気は重く、二人とも無言だったそうです。友人は霊園の外で待ちました。

霊園の訪問

一緒に行こうとするのを頑なに拒否されたためです。夫が一人霊園に入り、30分程で戻ってくる姿を見て安堵したと言っていました。帰宅時に、霊園で何があったのか尋ねますが、夫はなにも喋ってくれなかったそうです。

その日、夫に唐突に「愛してる」と言われたそうです。友人は嫌な予感がしたそうです。それはそうですよね。これだけ不可解な事がある中、急にそんなこと言われたら何かあるのかって勘ぐるのが普通だと思います。

そして、翌日目覚めると夫の姿が忽然と消えていました。玄関には夫の靴は全てありました。洋服や、彼に関わるものは全てそのままで、まるで部屋の中で消失したかのように。

夫の失踪

友人は警察に事情を話し、捜索願をだしたそうですが、依然として夫の行方はわからないそうです。

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