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【洒落怖】秘密の鎮魂祭

【洒落怖】秘密の鎮魂祭

夏の終わり、息苦しい暑さがやっと和らぎ始めた頃、僕は久しぶりに祖父の家を訪れることにした。

その家は、山間にひっそりと佇む小さな村にある。この村では年に一度、古から伝わる祭りが開催される。子供の頃、僕はその祭りを心待ちにしていた。だが、大人になるにつれ、都会の喧騒に飲み込まれ、訪れることがなくなっていた。

車を降りると、懐かしい土の匂いと、木々のささやきが迎えてくれた。祖父の家に向かう足取りは軽やかで、同時に心のどこかで、不安が鼓動のように鳴り響いていた。なぜだろう、この不安は。

祭りの前夜、村の静けさは異常なほどだった。

空気は重く、どこか冷たい。祖父の家に到着すると、彼の顔にも、村全体が抱える不穏な空気が映っていた。

「今年は祭りはない」と祖父は言った。その言葉には、言い尽くせないほどの悲しみと恐怖が込められていた。夜、家の外から話し声が聞こえてきた。長老たちが何かを話し合っている。彼らの声は低く、重たい。

僕は壁に耳を澄ませ、息を殺して聞き入った。彼らが話す「古い因習」と「祭りの本当の意味」についての断片を拾い上げた。

祭りの日、村はさらに沈黙を深めた。

昼過ぎ、好奇心が僕を動かし、足は自然と神社へと向かっていた。神社の境内は、かつての祭りの名残を色濃く残していた。中央に立つ古い鳥居の下をくぐると、背筋に冷たいものが走った。

近くの石碑に目をやると、そこには不吉な警告が刻まれていた。僕の呼吸は速くなり、心臓の鼓動は耳を打つほどだった。石碑の言葉から、村を取り巻く忌まわしい秘密が明らかになった。祭りは単なる祝祭ではなく、何かを鎮めるための儀式だったのだ。

夜、僕は床についたが、心は落ち着かなかった。

深夜、外から不気味な音が聞こえてきた。息をのみ、窓の外を伺うと、村全体が奇妙な光に包まれていた。恐怖を抑えつつ、僕は外へと足を踏み出した。神社に近づくにつれ、その光は明るさを増していった。そして、そこには、密かに集まった村の人々が、祭りを行っていた。

彼らの顔は厳かで、その手には古い儀式用の道具が握られていた。その夜、僕は村の古い伝統と、それを守る人々の強い絆を目の当たりにした。祭りが終わると、村は再び平和を取り戻した。その体験は僕の心に深く刻まれ、村への絆を新たにした。

僕はその後も、毎年祖父の家を訪れるようになった。しかし、あの祭りの夜のことは、誰にも話さなかった。それは僕と村の人々だけの秘密であり、語り継がれるべき古い伝説の一部となったのだ。

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