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【怖い話|短編】真夏の夜の悪夢

真夏の夜の悪夢
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真夏の夜の悪夢

夏休みも終盤に差し掛かったある蒸し暑い夜、僕はいつものように自室でファミコンに興じていた。いつもの「スーパーマリオブラザーズ」だ。しかし、その夜は何かが違った。

電源を入れた瞬間、聞き慣れたはずの起動音が歪み、不気味なノイズに変わっていた。

不気味な前兆

画面に映るはずのタイトルロゴも、いつもより暗く、不鮮明だ。マリオの笑顔も、どこか引きつっているように見えた。

「おかしいな…」

僕は首を傾げながらも、いつものようにゲームを始めた。しかし、ステージが始まると、違和感はさらに増していく。

BGMは遅く、不協和音のように響き、時折ノイズが混じる。クリボーはいつもより素早く、目が血走っているように見える。ファイアフラワーを取っても、炎は青白い不気味な色をしており、時折パチパチと音を立てて不規則に揺らめく。

悪夢のようなゲーム体験

「これは…バグかな?」

僕は不安になりながらも、ゲームを進めた。しかし、地下ステージに入った瞬間、画面が突然砂嵐のように乱れ、不気味な声が聞こえてきた。

「かえせ…かえせ…」

それは、まるで地の底から響いてくるような、低く、湿った声だった。僕は恐怖でコントローラーを落とし、急いで電源を切った。心臓が激しく鼓動し、冷や汗が背中を伝う。

「夢…だよな…?」

僕は自分に言い聞かせ、ベッドに潜り込んだ。しかし、眠りにつくことはできなかった。あの声、あの映像が脳裏に焼き付いて離れない。

翌朝、恐る恐るファミコンの電源を入れてみた。すると、いつものマリオがそこにいた。昨日のことは、ただの悪夢だったのかもしれない。

安堵しながらゲームを始めたが、最初のステージをクリアした途端、画面が再び砂嵐のように乱れ、あの声が再び聞こえてきた。

「まだ…かえさないのか…」

逃れられない恐怖

声はさらに大きく、歪んでおり、怒りと憎悪が込められているようだった。僕は恐怖で叫び声を上げ、ファミコンの電源コードをコンセントから引き抜いた。

その後、僕は二度とファミコンに触れることはなかった。あのファミコンは、今も実家の押し入れに眠っている。時々、夢の中であの不気味な声を聞くことがある。

あれは一体何だったのか?ただの故障?それとも、何か別のものがファミコンに乗り移っていたのか?

真相は分からない。しかし、あの夜の恐怖は、今も僕の心に深く刻まれている。

心の傷跡

そして、あのファミコンが今も実家の押し入れで、僕を待ち続けているような気がしてならない。

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