真夜中のスーパー
深夜2時、人気のないスーパーマーケットで警備員のアルバイトをしている大学生、翔太は、いつものように店内を巡回していた。
深夜のスーパーは、昼間の活気とは打って変わって静まり返り、薄暗い照明だけが不気味な雰囲気を漂わせていた。
翔太は、商品の陳列棚の間をゆっくりと歩きながら、時折懐中電灯で店内を照らしていた。すると、奥の食品コーナーからかすかな物音が聞こえてきた。
「まさか、誰かいるのか?」
翔太は警戒しながら音のする方へ近づいていった。すると、肉売り場の冷蔵ケースの中から、何かが動く気配がした。
おそるおそるケースの扉を開けると、そこには血まみれの肉の塊が置かれていた。肉の塊は不気味に蠢き、まるで生きているようだった。
恐怖を感じた翔太は、急いでその場を離れようとしたが、足がすくんで動けなくなってしまった。すると、背後から冷たい手が伸びてきて、翔太の肩を掴んだ。
「キャーッ!」
翔太は悲鳴を上げながら振り返ると、そこには血まみれのエプロンを身につけた、顔のない店員が立っていた。店員はニヤリと笑い、翔太に向かってゆっくりと手を伸ばしてきた。
「助けてくれー!」
翔太は必死に助けを求めたが、声は誰にも届かなかった。店員は翔太の首を掴み、そのまま冷蔵ケースの中に引きずり込んでいった。
翌朝、スーパーの店長が翔太の姿を見つけられず、警察に通報した。警察は店内を捜索したが、翔太の行方は分からなかった。
数日後、翔太の家族のもとに、一枚の写真が届いた。それは、翔太が血まみれの肉の塊と化した姿だった。写真の裏には、「一緒に働こう」というメッセージが書かれていた。
その後、このスーパーでは不可解な現象が相次ぎ、客足が遠のいていった。そして、数年後には閉店に追い込まれた。
今もなお、深夜のスーパーには、翔太の霊が現れるという噂がある。もし、あなたが深夜のスーパーで血まみれの肉の塊を見かけたら、決して近づいてはいけない。それは、翔太があなたを仲間にするために仕掛けた罠かもしれないのだから。
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