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【怖い話|短編】田舎の暮らし

田舎の暮らし
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田舎の暮らし

ある28歳の男性が、田舎暮らしに憧れて、5年間無人だった古民家を購入しました。その家はかなり傷んでいましたが、DIYを楽しみながら新生活を始めることにしたので、それほど気になりませんでした。

古民家の購入

彼はまず掃除から始めることにしました。不要な荷物や古い襖、畳を取り除き、広い庭へと運び出します。その中で、備え付けの棚を掃除していると、一枚の古びたモノクロ写真を見つけます。それは仲良さそうな家族の集合写真、彼は以前の家主の持ちものだろうと考えました。

掃除する男性

彼は写真を持ち主に返そうと、翌日、手帳に記された住所を頼りにその家へと向かいました。到着してチャイムを鳴らすと、契約の際にやり取りした男性が出てきます。写真を手渡そうとすると、男性は首を傾げ、「この写真はわからないなぁ」と言いました。その家にはずっとその家族が住んでいたはずですが、男性はそれが自分の所有物ではないと言います。仕方なく、彼は写真を持ち帰りました。

見つけた写真

家のリフォームは順調に進みました。床の張り替え、壁の取り壊しにより、広いリビングが完成し、トイレも最新式に変えました。しかし、その夜、彼は写真のことが頭から離れず、もう一度写真を手に取りました。ぼーっと写真をながえていると、少し違和感があります。よくよく見ると、以前見た時と写真が少し変わっているのです。

仲の良さそうな家族写真は、一人一人の表情が悲しく俯いた写真に変わっていました。

気味が悪くなりその写真をそっと伏せました。なんだこの写真は。そう心の中で思っていると、庭からガタンという物音がします。彼は驚き、そっと庭を見に行きました。特に音の発生源になるものもなく、変化もなかったのですが彼は気づきました。

古民家の庭

あの写真は、この庭で撮影されたものでした。気味が悪いなぁと思いながらも確かめるため、写真を再度みると彼は言葉が詰まりました。

写真の中の一人が倒れ、血の様なものを吐き出しています。

この場所には何か不吉なものがあると直感し、彼は暗がりの中、一人車に乗って家を後にします。しかし行く当てもありません。どこか明るい場所、24時間営業のお店を探すのですが、田舎なためそんな場所はない。仕方なく高速に乗り、サービスエリアで一晩過ごそうと考えました。

サービスエリアに着き、トイレを済ませ一息つきました。その日は暖かく、気持ちの良い風が吹いていましたが、彼は震えが止まりません。一人車内で朝が来るのを待ちますが1分が永遠の様に長く感じられます。

すると、コンコンと窓ガラスを叩かれました。

車の窓を叩く男

そこには男性が一人立っていて、何か紙切れを持っていました。窓を開け「どうしましたか?」と尋ねると、「さっきトイレでコレ落としましたよ。」と紙切れを渡されます。その紙切れは、古民家で見つけた写真でした。

思わず写真に気を取られ「え?」と声を出してしまいましたが、男性の方を向き直ると誰もそこにはいません。

恐る恐る写真を見ると、そこにはモノクロの自分が笑顔でひとり写っていました。

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