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【怖い話|短編】警察官の深夜巡回

警察官の深夜巡回
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警察官の深夜巡回

私がまだ新米の警察官で、東京某所に配属が決まったばかりのある日の事。その日は夜勤で、地域の巡回パトロールをしていたんです。自転車に乗り、先輩巡査と一緒に町を回っていました。

巡回開始

私がいる交番は住宅街の中にあり、大型の集合住宅や戸建ての家も多く、緑あふれる公園もしっかりと備わっている地域で治安も良く、たまに高校生がその公園で集まるのを注意するぐらいでした。

しかし、ある集合住宅の横を通ったときに先輩警察官が「おい、あそこに小学生の女の子いるから話しかけてきてくれ」と言うのです。見ると、小学3年生ぐらいでしょうか?赤いスカートを履いた女の子がぼーっと立ち尽くしていました。

女の子との遭遇

「DVの家庭か何かかな?」と私は考えながら、その少女に近づきます。「大丈夫?どうしたの?」と声をかけると、彼女は「迷子になっちゃった…」と小さな声で言いました。そして不思議なことに、彼女は「家に帰りたいけど、家はもうないの」と言いました。

お母さんはどうしたのかな?と聞くと、か細かった声がだんだん大きくなり、「お母さんはもういないの」「もう死んじゃったから会えないの」「寂しいよ」「辛いよ」「お父さんにも会いたいよ」「わたし以外はみんなみんな死んじゃったから誰もいないんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

夜の街に響くほど大きな声で彼女は叫びました。私は驚き、ぎょっとしていると、彼女はゆっくりと顔をあげ、こちらを見ました。彼女の目は黒く落ち込んで、空洞のような穴が空いていました。「うわぁぁぁぁ!」余りの恐怖に私はおもわず私は叫びました。

先輩に助けを求めようと振り返ると、先輩も驚き固まっています。その瞬間、女の子は霧のように薄れ、やがて完全に消え去りました。私と先輩はしばらくの間、その場に立ち尽くし、起こったことを理解しようと努めました。しかし、どう考えても理解できるはずもなく、私たちは沈黙のまま交番へ戻りました。

交番に帰る

交番に戻る道すがら、何が起こったのか、あの女の子は一体何者だったのかについて話し合いました。しかし、どんな仮説を立てても、あの不可解で恐怖に満ちた出来事に対する納得のいく答えは見つかりませんでした。交番に戻った後、その出来事を上司に報告しましたが、上司には全く信じて貰えませんでした。

それ以来、先輩ともこの話は禁句のようになり、お互い話すこともありません。

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