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【洒落怖】河童の約束

【洒落怖】河童の約束

これは5年前に亡くなった父親から聞かされた話だ。

私たちの家族は代々、山深い小さな村に住んでおり、そこには古くから伝わる不思議な話が数多く存在した。その中でも特に心に残っているのが、父が若い頃に体験したという「河童」の話である。

父はいつも、河童をただの伝説や子どもを脅かすための話だと思ってはいけないと警告していた。

父がまだ若く、村の若者たちと川で遊んでいた夏の日のことだった。

彼らが川で泳いでいると、突然、誰かに水中から足を引っ張られた。
最初は冗談だと思っていたが、その引っ張る力は次第に強くなり、一人の友人が本当に水中に引きずり込まれそうになった。

その瞬間、彼らは何かがおかしいと感じ、慌てて川から上がった。
その日以来、その川を避けるようになった。

その出来事の数日後、村の古老が父に河童の話を聞かせてくれた。

河童は川に住むとされる妖怪で、水辺で人を襲うことがあるという。しかし、古老によれば、河童はただの悪さをする存在ではなく、村とある種の契約を結んでいたという。

それは、村人たちが川を清潔に保ち、自然を尊重する限り、河童は村人を守るというものだった。

父の話によると、その契約は何世代にもわたって守られてきたが、時代が変わり、村の人々が自然との共生を忘れ始めた頃から、奇妙な出来事が起こり始めた。

川での溺死事故が増え、見知らぬ足跡が川辺に残されるようになった。父とその友人たちが体験した出来事も、この契約が破られたことに対する警告だったのだろう。

この事態に危機感を感じた父は、村の若者たちを集め、川の清掃活動を始めることを提案した。

彼らは川辺に捨てられたゴミを拾い、川の水を汚す要因を取り除いた。作業をしているとき、父は川の中から小さな影を見た。それは明らかに人間のものではなく、河童が彼らを見守っているように感じられた。

清掃活動が進むにつれ、不可解な出来事は少なくなり、村には再び平和が戻った。

しかし、その平和は長くは続かなかった。

ある夏の日、村の外れに大きな工場が建設され、その排水により川の水質が悪化し始めた。この変化により、河童は再び村人に警告を発するようになった。

父が最も恐ろしかったと語ったのは、工場の建設責任者が川で溺死した事件だった。

その日、責任者は川辺で一人何かを調査していたが、突然川に引きずり込まれ、そのまま行方不明となった。

後になって、その場所には河童の足跡が残されているのが見つかった。

この事件を境に、村人たちは再び自然との共生の大切さを思い出した。

工場の排水処理が改善され、川の水質は徐々に回復していった。そして、不可解な出来事や溺死事故もなくなり、河童からの警告も止まった。

父がこの話をしてくれたのは夏だった。

父は、自然との調和という教えを私たちに残してくれた。

河童の話は単なる伝説ではなく、私たちが環境とどう向き合うべきかを示す警告だったのだ。私は父から聞いた話を忘れず、川を訪れるたびに、その清らかな水を守るために何ができるかを考えるようになった。

今、私がこの話をしているのも、父と同じ理由からだ。

この伝説を通じて、人々に自然との共生の大切さを伝えたい。

河童も、この話が未来の誰かに影響を与えることを望んでいるのではないかと思う。私たちの行動一つ一つが、自然との関係をどう変えていくか、その重要性を忘れないでほしい。

そして、河童のような存在がただの伝説ではなく、私たちに大切なメッセージを伝えているのかもしれないということを。

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