地獄の契約
「見て見て!この画像、待ち受けにすると幸せになれるんだって!」
親友の理恵が興奮気味にスマホの画面を見せてきた。そこには、息を呑むほど美しい風景写真が表示されていた。透き通る青い海、白い砂浜、そして鮮やかな緑の木々。まるで楽園のような景色だった。
しかし、その楽園の中心に、異様な存在が鎮座していた。巨大な目玉だ。それは風景に不釣り合いなほど大きく、まるで全てを見透かすかのようにこちらを見つめていた。
「ちょっと…気持ち悪いよ、それ…」
私は思わず顔をしかめた。
「大丈夫だって!ネットで話題になってるんだから!みんな幸せになってるらしいよ!」
理恵はそう言って、強引に画像を私のスマホに転送してきた。半信半疑ながらも、私はその画像を待ち受けに設定した。
最初の数日間、確かに良いことが立て続けに起こった。宝くじで5万円が当たり、ずっと欲しかったブランドのバッグがセールで半額になっていた。しかし、同時に奇妙な現象も起こり始めた。
夜中に誰かの視線を感じて目が覚めたり、誰もいないはずの部屋から物音が聞こえたり。そして、最も恐ろしかったのは、鏡に映る自分の顔が徐々に変わっていくことだった。目は充血し、肌は青白く、まるで生気が失われていくようだった。
14日目の朝、スマホを見た私は絶叫した。待ち受けの風景は変わっていない。しかし、あの巨大な目玉が確かに動いていたのだ。それはゆっくりと瞬きをし、そして不気味な笑みを浮かべた。
私は恐怖でスマホを投げ捨てた。しかし、時すでに遅し。画像の目は私をしっかりと捉え、その呪縛から逃れることはできなかった。
それからの日々は悪夢のようだった。不可解な現象はエスカレートし、私は常に得体の知れない恐怖に怯えながら生きていた。そして、ついに私は悟った。あの画像は地獄への招待状だったのだ。私は永遠にあの目玉の奴隷として、地獄の底で苦しみ続ける運命にあるのだと。
もし、あなたがこの画像を見つけても、決して待ち受けにしてはいけない。それはあなたの魂を地獄へと引きずり込む、恐ろしい契約書なのだから。
私は今、地獄の底でこの文章を書いている。どうか、私のこの警告を聞いてほしい。そして、あの呪いの画像から、あなた自身を守ってほしい。
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