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【怖い話|短編】私が小学校教師を辞めた理由

薄暗い夕方の学校
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私が小学校教師を辞めた理由

私が小学校の先生を辞めるきっかけとなった、忘れられない出来事があります。それは夏休みも終わりに近づいたある日の夕方のことでした。学校は静かで、来るべき新学期の準備のために教室の整理をしていました。時計の針はすでに18時を過ぎ、校舎には私一人だけが残っていました。

その日は特に疲れていたため、教室の机と椅子を整理する作業がなかなか進みませんでした。ふと、廊下の向こうから子供たちの声が聞こえてくるような気がしました。しかし、夏休み中に学校に子供たちがいるはずがありません。私は気のせいだと自分に言い聞かせ、作業に戻りました。

しかし、その声はだんだんとはっきりと聞こえてきました。明らかに子供たちが何かを話している声です。私は好奇心に駆られ、廊下に出て声のする方向へと歩き始めました。校舎は既に日が落ち、薄暗くなっていました。私は心臓の鼓動を感じながら、ゆっくりと声のする教室に近づきました。

夕方の学校の廊下

教室のドアを開けると、そこには誰もいませんでした。しかし、壁には子供たちが描いたと思われる絵が何枚か貼られていました。それらの絵は、私がこれまで見たことのないものでした。子供たちの描いたはずの絵ですが、どれもが不安な雰囲気を持っており、見る者に不気味な感覚を与えました。

壁に貼られた不気味な絵

絵の一つには、深い森の中に立つ、古びた家が描かれていました。その家の周りを、ぼんやりとした影が取り囲んでいます。もう一枚の絵には、空を飛ぶ大きな黒い鳥が描かれていて、その目からは涙が流れていました。絵からは、子供たちの恐れや悲しみが伝わってきます。なぜこんな絵がここにあるのか、誰が描いたのか、考えただけで背筋が凍る思いがしました。

その時、私は自分でも驚くような小さな声を漏らしました。「これは…何?」声には驚きと恐怖が混ざっていました。絵を見ている間も、ずっと背後に誰かの視線を感じていたような…。しかし、振り返ってもそこには誰もいませんでした。

私は絵を一つ一つ注意深く見ていきましたが、見るほどに不安が募っていきました。それぞれの絵には、ただならぬ物語が秘められているような気がしました。この絵が、ただの子供の遊びで描かれたものとは思えませんでした。

その時、背後から「先生、遊ぼうよ」という子供の声が聞こえました。振り返ると、そこには誰もいませんでした。恐怖で息が詰まりそうになり、私は急いで教室を出て校舎を後にしました。その夜、私は何度も夢にうなされました。子供たちの声と、不安を感じさせる絵が繰り返し私の心を襲いました。

うなされる主人公

後日、学校に戻った時にその教室を確認しましたが、壁に貼られていた絵はどこにもありませんでした。学校の他の先生や職員にも尋ねましたが、誰もその日の出来事については知りませんでした。

この体験から数年が経ちますが、あの日の出来事は今でも私の心に深く刻まれています。あれは一体何だったのでしょうか。ただの幻覚だったのか、それとも……。今でも、あの絵が何を意味していたのか、その声の正体は何だったのか、答えを見つけられずにいます。それが、私が教師を辞めるきっかけとなった、忘れられない出来事でした。

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