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【怖い話|短編】真夏の夜の白い手

真夏の夜の白い手
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真夏の夜の白い手

窓の外では、セミの鳴き声が夏の夜の暑さを一層際立たせていた。私は、一人暮らしのアパートの寝室で、古びた扇風機を弱風にして、湿ったシーツにくるまっていた。

真夜中を過ぎた頃、深い眠りから覚めた。喉の渇きを覚え、手探りで bedside table のペットボトルを取ろうとした時、かすかな音が私の注意を引いた。それは、クローゼットの方から聞こえる、衣類が擦れるような、何かが動くような音だった。

湿度の高い夜

心臓が不規則に鼓動し始めた。私は恐怖で体が硬直し、ベッドから起き上がることすらできなかった。薄明かりの中で、クローゼットの扉の隙間がわずかに開いているのが見えた。その暗闇の中に、何かが存在しているような気がした。

息を殺して見つめていると、次の瞬間、白い手がゆっくりと扉の隙間から伸びてきた。それは、青白い光を帯びた、骨ばった、不気味な手だった。まるで私を引きずり込もうとしているかのように、私の方に向かって伸びてくる。

恐怖で叫び声を上げようとしたが、声は出ない。体が硬直し、息をするのもやっとだった。冷や汗が背中を伝い、心臓は破裂しそうに激しく鼓動していた。

白い手は、私の足首に向かって伸びてくる。私は必死に抵抗したが、無駄だった。冷たい手が私の足首を掴み、私をクローゼットの中に引きずり込もうとする。

忍び寄る恐怖

その時、突然、けたたましいアラーム音が鳴り響いた。それは、私がセットしていた目覚まし時計の音だった。

白い手は、まるで驚いたかのように、私の足首を離し、クローゼットの中に消えていった。私は金縛りが解け、ベッドから飛び起きた。

全身から冷や汗が噴き出し、心臓は激しく鼓動していた。恐る恐るクローゼットを開けてみたが、中には何もいなかった。ただ、古い洋服がハンガーにかかっているだけだった。

私は震える手で部屋の電気をつけ、クローゼットの中をくまなく調べた。しかし、何も異常は見つからなかった。あの白い手は一体何だったのか。あれは夢だったのか、それとも…。

真夏の悪夢

窓の外では、まだセミが鳴いていた。しかし、その声は、さっきまでとは違って、不気味に、そして恐ろしく聞こえた。私は、恐怖で震えながら、ベッドに戻った。

それ以来、私はクローゼットを開けるたびに、あの夜の恐怖を思い出す。そして、あの白い手が再び私を襲いに来るのではないかと、今でも怯えている。あの夏の夜は、私にとって、一生忘れられない恐怖の体験となった。

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