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【洒落怖】拝み屋の忌まわしき夜話

【洒落怖】拝み屋の忌まわしき夜話

ある寒い冬の夜、私は知り合いの拝み屋に古びた茶室で会った。

彼女は、この世とあの世の境界線上でさまざまな存在と対話する人だ。部屋には古い香りが漂い、彼女の目は遠くを見つめるように語り始めた。

「あなたに、今まで出会った中で最も背筋が凍るような話を三つ教えよう。」その言葉と共に、私たちの周りの空気が一層冷え込んでいくのを感じた。

忘れられた人形

「最初の話は、ある家族が遺した人形にまつわるものです。

その家は何代にもわたり、一体の古い人形を大切にしていました。しかし、家を離れることになった若い夫婦は、その人形を押し入れの奥に忘れてしまったのです。夜中、新しい住人が不可解な子守唄を耳にするようになりました。調べても、音の源は見つかりませんでした。

ある晩、彼らは押し入れから微かな泣き声を聞き、奥を確認すると、人形が一人でに揺れているのを発見しました。その夜以来、人形は消え、代わりに家の隅々には幼い子の笑い声が響き渡るようになったのです。」

影を失った男

「次に、影を失った男の話です。

この男は、深夜、自宅へと急ぐ途中で、不気味な声に呼び止められました。振り返ると、そこには誰もいませんでした。しかし、その日を境に、彼の影が消え失せたのです。

日中でも、強い光の下でも、彼には影が落ちなくなりました。彼は次第に人々から避けられ、孤独に陥りました。そして、ある日、彼自身も跡形もなくこの世から消えてしまいました。

唯一残されたのは、彼の部屋の壁に映る、無数の影だけでした。」

夜中に鳴る電話

「最後は、夜中に鳴る電話の話です。

ある夜、一本の電話が寝ていた女性にかかってきました。彼女が恐る恐る受話器を取ると、亡くなったはずの母親の声が聞こえました。「大丈夫、すぐそばにいるから」と。

その後も、毎晩同じ時間に電話はかかってきました。しかし、彼女がその電話の真実を確かめようとした瞬間、電話は二度と鳴らなくなりました。

その代わり、彼女の夢には毎晩、母親が現れるようになったのです。」

これらの話を聞いた後、私は何か重いものに押しつぶされるような感覚を覚えた。拝み屋は、これらの話が単なる創作ではなく、彼女が直接関わった事例であると語った。

彼女の言葉は、私たちの周りには見えない力が常に働いていることを示唆していた。

その夜の話は、私の心に深く刻まれた。家に帰る道すがら、自分の影を何度も振り返りながら、見えない世界の存在を改めて認識した。

拝み屋が語った怖い話は、私たちが普段意識しない世界の一端を垣間見せてくれた。そして、私たちの日常とは別の場所で、未知の存在が囁いていることを思い出させてくれたのだった。

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