【洒落怖】秘境の村と原住民
東南アジアの奥地を目指していたある日、私と彼女は未開の村に足を踏み入れた。
その村は地図にも載っておらず、偶然にも発見した秘境だった。周囲を高い山々に囲まれ、外界から隔絶されたその場所は、一見して静かで平和な雰囲気を漂わせていた。
しかし、村に一歩踏み入れた瞬間、私たちは異様な緊張感を感じ取った。
村人たちの視線は警戒心に満ちており、私たちを歓迎する様子はなかった。彼らの態度は、まるで私たちを恐れ、同時に威嚇しているかのようだった。
「ここはどうやら、私たちが簡単に立ち入れる場所じゃないみたいだ」と彼女が囁いた。
私たちは村の中心にある広場に立っていたが、突然、村人たちが一斉に叫び声を上げ始めた。彼らの中から一人の老人が前に出てきて、私たちに何かを語りかけた。
言葉は分からなかったが、その表情とジェスチャーから、私たちがこの場所を離れるよう命じていることは明らかだった。
その時、空気が一変した。
村人たちは手にした松明を高く掲げ、一斉に謎の粉を空中に撒き始めた。
しかし、彼らはその粉を私たちに向けてはいなかった。むしろ、粉は彼ら自身の周りに円を描くように撒かれ、その中で彼らは奇妙な踊りを始めた。それは、私たちを追い払うための儀式のようだった。
「ここから離れよう。今すぐに」と私は彼女に促した。
私たちは急いで村を後にしたが、その夜、森の中で不思議な体験をした。
夜の静寂の中で、遠くから村人たちの踊りと叫び声が聞こえてきた。それはまるで、私たちを遠ざけるための警告のようだった。
後に、近くの別の村でその秘境の村について聞いた時、私たちはその村が古くからの伝承を守り続けている場所であり、外界の人間を決して受け入れないという事実を知った。
彼らの警戒心は、文化と伝統を守るためのものだったのだ。
私たちがその村で見たものは、超自然的な現象ではなく、人間が持つ深い恐怖と尊重の表れだった。
それは、未知との遭遇がいかに心を揺さぶるかを思い知らせる体験となった。
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