【洒落怖】死を招く楽譜の都市伝説
友人のユウトと私は、よく怪談話で盛り上がる。
ある晩、私たちは都市伝説について話していた時、ユウトが最近骨董品屋で見つけたという古い楽譜の話を持ち出した。
「この楽譜、弾いた人は不幸な死を遂げるという噂があるんだ」と彼は言った。
最初は冗談かと思ったが、彼の表情は真剣そのものだった。
興味本位で、私たちはその楽譜を見ることにした。
ユウトの部屋で、彼は慎重にその楽譜を広げた。紙は黄ばみ、かすかにモールドの匂いがした。楽譜には名前も作曲者も記されていなかったが、不気味な美しさを感じさせる旋律が書かれていた。
「試しに弾いてみるか?」ユウトが提案した。
私は躊躇ったが、彼は既にピアノの前に座っていた。最初の数音は美しく、何も起こらないように思えた。しかし、彼がその旋律を進めるにつれ、部屋の空気が変わり始めた。
窓の外から急に風が吹き込み、部屋の中の温度が急降下した。そして、ユウトが楽譜の中盤に差し掛かると、私たちは二人とも背後に誰かの存在を感じた。振り返ると、そこには誰もいなかったが、冷たい視線を感じることができた。
恐怖でユウトが演奏を止めると、その感覚は消えた。
しかし、その夜から私たちの周りで不可解なことが起こり始めた。ユウトは夜な夜な悪夢にうなされ、私は常に誰かに見られているような感覚から逃れられなくなった。
数日後、私たちはその楽譜を持っていた骨董品屋に戻り、その由来を尋ねた。
店主は言った。「あの楽譜は、かつて若い音楽家が作ったものです。彼は恋人を亡くし、その悲しみを曲に込めました。しかし、その旋律はあまりにも悲しみが深すぎ、聴いた者に不幸が訪れると言われています。」
私たちはその楽譜をどうすべきか、長い間悩んだ末、深い森の中にそれを埋めることにした。それ以来、私たちを取り巻く不可解な現象はなくなったが、あの夜の出来事は私たちの心に深く刻まれた。
弾いたら死ぬ楽譜の伝説は、私たちにとってただの話ではなくなった。
それは、悲しみや愛が時にはこの世のものとは思えない力を持つことを教えてくれる、忘れられない体験となったのだ。
コメント