守り人形の秘密
Aちゃんは小学生の時、祖母から特別な力を持った人形を譲り受けました。この人形は何世代にもわたり家族を見守り、守ってきたと言われています。
しかし、学校で酷いいじめに遭っているAちゃんにとってはお守りではなく、遊び相手以上の特別な存在となりました。家族にも友達にも言えない悩みを人形に打ち明けるうちに、Aちゃんは人形と特別な絆を感じるようになります。
ある夜、Aちゃんが眠っていると、物音で目を覚まします。起き上がり物音のする方を見ると、人形が突然喋り始めるという不可解な現象が起こりました。初めは驚いたAちゃんでしたが、人形の優しい声と懐かしさに安心感を覚え、人形が動いていることにも怖さを感じませんでした。
その夜の出来事は、Aちゃんにとって新たな日常の始まりとなりました。人形は毎晩Aちゃんに話しかけ、彼女の孤独を癒やしてくれました。人形の言葉はいつも温かく、Aちゃんが学校で遭遇する苦痛から彼女を守るかのようでした。
しかし、ある日のこと、Aちゃんが学校から帰宅すると、いつも人形が座っている場所が空っぽであることに気づきました。家中を探し回りましたが、人形の姿を見つけることはできません。夜になり、Aちゃんが心配で眠れずにいると、人形がベッドの足元に座っているのが見えました。
「あれ?何回も探したのに」と思いましたが、人形は「Aちゃん、大丈夫。いつもそばにいるから」と優しく言いました。
翌日、学校でショッキングなニュースがAちゃんを待っていました。学校で一番のいじめっ子であるCちゃんが突然亡くなったというのです。BちゃんとDくんはAちゃんを指差し、「これはお前のせいだ」と非難しました。彼らの言葉に、Aちゃんは混乱し、何も言い返すことができませんでした。
その夜、Aちゃんは学校でのことを話しました。人形は静かに聞いていて、「Aちゃんを守るためなら、私はどんなことでもする」と答えました。この言葉を聞いて、Aちゃんは、Cちゃんの死因や、BちゃんDくんに何かしているのではないかと感じ始めました。
日が経つにつれ、BちゃんとDくんも学校を休むようになり、Aちゃんへのいじめはなくなりましたが、彼らは口を揃えて「人形が襲ってくる」と同じ言葉を繰り返していたそうです。
やがてAちゃんが高校生になると、新しい生活と友人、そして初めての彼氏との時間を楽しんでいました。小さい頃のように人形と話すことはなくなり、人形はただの思い出の品として部屋の片隅に静かに置かれていました。
しかし、Aちゃんが彼氏を家に招いたある日、彼氏が人形の前を通りかかると、人形の目が微かに動いたように見えました。Aちゃんはその瞬間を見逃しましたが、彼氏は何か不気味な感覚を覚えました。
その晩、Aちゃんが就寝前にふと人形を見ると、人形の唇がわずかに動いているように見え、一言、はっきりと聞こえました。「Aちゃんは、私のものよ」。声はかつて人形が話していた時の優しい声とは異なり、独占欲に満ちた冷たい声でした。
Aちゃんはその言葉に心を凍りつきました。
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