運命の赤い糸の罠
都会の片隅に住む大学生の遥は、SNSで知り合った友人からある不可解なアプリの存在を聞きました。
そのアプリは「運命の赤い糸」と呼ばれ、ダウンロードすると自分と運命的に結ばれた人物を見つけ出すことができるというものです。興味本位でアプリをインストールした遥は、自身のプロフィールを入力し、運命の人を探し始めました。
数分後、「運命の人が見つかりました」という通知と共に、一人の男性のプロフィールが表示されました。
彼の名前は智也。最初は軽い興味で始まったやり取りが、次第に深い内容へと発展していきました。智也は遥に心の支えを与え、遥は智也に自分の日々の悩みや喜びを打ち明けるようになりました。
しかし、智也からの連絡が突如として途絶えたことで、遥の日常に不安と混乱が生じ始めました。
アプリを通じても、智也のSNSアカウントを通じても、彼には連絡が取れない状態でした。遥は智也に会うため、彼が以前言及していた場所へと向かいました。その場所は、都会の喧騒から離れた廃墟と化したマンションでした。建物には薄暗い月明かりが差し込むのみで、周囲は静寂に包まれていました。
遥は不安を抱えながらも、智也の言っていた部屋へと足を進めました。
部屋の扉を叩く勇気が出ないまま立ち尽くしていると、中から人の気配がしました。
「智也さん?」と声をかけると、扉がゆっくり開き、遥の目の前に現れたのは、全身を黒いローブで覆った謎の人物でした。彼は遥に近づき、「運命の赤い糸は、時に人を繋ぐだけでなく、運命を狂わせることもある」と告げました。
その瞬間、遥のスマートフォンが鳴り、「運命の人はもうすぐそこにいます」というメッセージが表示されましたが、再び振り返ると、そこには誰もいませんでした。
遥は恐怖に駆られてその場から逃げ出し、警察に相談しましたが、アプリ「運命の赤い糸」が関連する数々の失踪事件の存在を知らされました。アプリは人々を特定の場所へと誘い出し、何者かに利用されていたのです。
智也との出会いが、遥にとって忘れられない恐怖の経験となり、デジタル世界の未知の側面に対する警鐘を鳴らすことになりました。
コメント