消えたキャンパー
静寂に包まれた夜のキャンプ場。焚き火のぱちぱちという音だけが、辺りに不気味な影を落としていた。友人たちとキャンプに来ていた大学生、拓也は、一人テントを抜け出し、夜の森へと足を踏み入れた。
「ちょっとトイレ行ってくる」
そう言って、懐中電灯を手に、闇の中へと消えていった拓也。しかし、彼は、二度と戻ってくることはなかった。
翌朝、友人たちは、拓也の失踪に気づき、捜索を開始した。しかし、森の中をいくら探しても、彼の姿は見つからなかった。
数日後、警察が捜索に加わったが、手がかりは何もなかった。拓也は、まるで、忽然と姿を消してしまったかのように。
しかし、奇妙な現象が、キャンプ場を襲い始めた。夜になると、森の中から、不気味な声が聞こえてくるようになった。それは、まるで、誰かが助けを求めているかのような、悲痛な叫び声だった。
そして、焚き火の周りでは、不可解な現象が頻発した。火が突然消えたり、物がひとりでに動いたり、まるで、誰かの悪意が、キャンプ場を包み込んでいるかのように。
ある夜、友人たちは、焚き火を囲んで、拓也の話をしていた。すると、突然、風が吹き荒れ、火が消えた。そして、闇の中から、白い人影が現れた。
それは、拓也の姿をしていた。しかし、その顔は、青白く、目は、虚ろだった。彼は、友人たちに向かって、無言で手を伸ばした。
友人たちは、恐怖で凍りつき、身動きが取れなかった。そして、次の瞬間、人影は、闇の中へと消えていった。
数週間後、キャンプ場近くの森の中で、拓也の持ち物の一部が発見された。それは、彼が身につけていたはずの懐中電灯だった。しかし、それは、無残にも壊されており、まるで、何かと激しく争ったかのような痕跡が残っていた。
さらに、懐中電灯の周りには、奇妙な記号が刻まれていた。それは、まるで、何かの呪文のようだった。
その後、捜索は打ち切られ、拓也の失踪は、未解決事件として扱われることになった。
しかし、キャンプ場には、今も、拓也の霊が彷徨っているという噂が囁かれている。彼は、あの夜の真実を求めて、永遠に、森の中をさまよい続ける運命にあるのだろうか。
そして、あの奇妙な記号は、一体、何を意味しているのだろうか。それは、拓也の失踪に、何か関係があるのだろうか。
キャンプ場は、今も、闇に包まれたままだ。そして、あの夜の恐怖は、決して、消えることはないだろう。
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