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【怖い話|短編】闇に呼ぶ光

闇に呼ぶ光
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闇に呼ぶ光

山間の静かな町では、夜になると不自然に光が点滅する現象が起き始めた。最初は単なる偶然だと考えられていたが、光の頻度は次第に増し、住民たちの間に不安が広がり始めた。その光は町外れの森の奥深くから発せられており、まるで暗号のように不規則で、誰もその意味を理解できなかった。しかし、ある者はその光に何か得体の知れない意志が宿っていると感じ、恐怖に駆られて町を去る者も出てきた。

山間の町

ある晩、町に住む若者たち、タカシ、ユウタ、そしてサキは、その不規則に点滅する光の正体を突き止めるべく、森へと向かう決心をした。彼らは好奇心に駆られていたが、心の奥底では、何か危険なものが待っているのではないかという不安があった。それでも、誰もがこの謎を解き明かしたいという気持ちを抑えることができなかった。

森の中は不気味なほど静かで、普段は聞こえるはずの動物の鳴き声も、風に揺れる木々の音さえも消え去っていた。足元の枯れ葉が踏まれる音だけが響き渡り、まるで森全体が彼らの侵入を拒んでいるかのように感じられた。光の源に近づくにつれて、彼らは胸が高鳴るのを感じた。

森への足跡

ついに、若者たちは小さな丘の上に建つ古びた施設を見つけた。それは、長年誰にも気づかれずに放置されていたかのようで、苔に覆われ、壁にはひび割れが走っていた。窓は板で打ち付けられており、内部の様子はまったく見えない。外観からは、この施設がかつて何に使われていたのか想像もつかなかったが、その不気味さは言葉にできないものだった。

施設の門を越えた瞬間、彼らは冷たい風が足元を吹き抜けるのを感じた。まるで、何か目に見えない存在が彼らを歓迎しているかのようだった。扉は軋む音を立てながら重々しく開き、中からかすかに何かの囁き声が聞こえてきた。恐る恐る中に足を踏み入れると、壁一面に奇怪なシンボルが描かれており、まるで古代の呪文がそこに刻まれているかのようだった。

奇怪な施設

中央の大きな祭壇には、不気味な光を放つ結晶が置かれており、その光が外の森に向かって不規則に点滅していた。彼らは結晶に近づくと、その光が脈打つように強くなり、頭の中に奇妙な囁きが響き渡った。それは、彼らが決して理解できない異質な言語で語られていたが、どこか引き寄せられるような感覚に襲われた。

突然、彼らは背後に何かの気配を感じた。振り返ると、黒いローブを纏った集団が無言で彼らを取り囲んでいた。目だけが異様に光り、彼らの動きを一瞬も見逃さない。その集団は、施設の中で行われる儀式を守護する古い宗教の信者だった。彼らの表情はまったく読めず、ただ無言で若者たちに迫り続けていた。

タカシが恐怖に駆られて逃げ出そうとしたが、体がまるで凍りついたかのように動かなかった。ユウタもサキも同様に、その場から一歩も動くことができず、まるで何かに操られているかのようだった。ローブの集団が静かに近づくと、周囲の光が次第に強くなり、目を覆いたくなるほどの眩しさが彼らを包み込んだ。

闇の儀式

その光が消えたとき、森の中には再び静寂が訪れ、施設はまるで最初から存在しなかったかのように消え失せていた。彼らの姿も、町に戻ることはなかった。その後、町では彼らのことを語る者もいなくなり、光の点滅も二度と起こることはなかった。しかし、誰も近づこうとしない森の奥には、今でも不気味な空気が漂い続けており、その異様な静けさが、何かがまだそこに潜んでいることを暗示しているかのようだった。

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