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【怖い話|短編】親友の裏の顔

親友の裏の顔
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親友の裏の顔

ある日、私は親友であるAと久しぶりに会うことになり、彼の家に招かれました。

彼とは小学生の頃からの付き合いで、互いに信頼し合っていました。Aは明るく、誰にでも好かれる性格で、私にとって唯一無二の親友でした。どんな悩みや秘密も打ち明けられる存在で、彼との友情に疑いを持ったことは一度もありませんでした。

親友との再会

その日、Aの家はいつも通りの暖かい雰囲気で、久しぶりの再会に心が弾みました。彼は昔話をしながら、懐かしい思い出を次々に語っていました。しかし、どこか私の心には言いようのない違和感がありました。Aの話す内容や口調は自然なのに、部屋の空気が重苦しく感じたのです。

彼の視線も、どこか私を探るように見えましたが、それを指摘する勇気はありませんでした。

彼が「飲み物を持ってくるよ」と言って部屋を出た瞬間、私はふと視線を周囲に移しました。そこで目に入ったのは、見覚えのある小さな黒い財布でした。

それは、私が数ヶ月前に失くした大切な財布です。

失くした財布の発見

中には思い出の写真や重要な書類が入っており、どこにも見当たらずに困り果てていたものでした。心臓が早鐘を打ち、背筋が凍りつきました。なぜここにあるのか?友人の家に、失くしたはずの私の私物が無造作に置かれている光景が、頭の中で繰り返し問いかけてきました。

疑念が頭を占拠し、私はその場に立ち尽くしました。そのとき、Aが戻ってきましたが、彼の様子は異様でした。彼の手には光るものが握られており、それはナイフでした。思わず一歩後ずさりした私を見て、Aは薄く笑い、静かに語り始めました。

親友の告白とナイフ

「ずっと気づいてなかったんだな。俺が全部、お前を監視していたってことをさ。」

言葉が信じられませんでした。Aはいつも私のそばにいてくれた親友のはずです。しかし、彼の次の言葉がその全てを覆しました。

「お前が失くしたもの、困っていたこと、全部俺が仕組んだんだよ。お前が戸惑って、苦しんでいる顔を見るのが楽しくて仕方なかったんだ。」

その瞬間、過去の出来事が一気にフラッシュバックしました。重要な書類の紛失、誰にも話していないはずの個人的な問題が漏れた件、そして不可解な出来事の数々。全てがAの手によって操作されていたのだと理解した瞬間、全身から冷や汗が噴き出しました。まさか、こんなにも信頼していた相手が裏で私を苦しめていたとは。

Aは続けて言いました。「だけど、そろそろお前には飽きた。次はもっと面白いことをしてやるよ。俺と、お前の最後のゲームだ。」

その言葉が頭の中で何度も反響し、現実感を失いそうになりました。Aの手に握られたナイフが、冗談ではないことを示していました。逃げなければ、ここで何が起こるのかは容易に想像できました。私は無我夢中で部屋を飛び出し、必死に逃げました。

逃走と狂気の笑い

背後でAの狂気じみた笑い声が響いていましたが、振り返ることはできませんでした。

それ以来、Aとは一切連絡を取っていません。彼があの後どうなったのかも知りません。けれども、あの恐怖が私の中から消えることはありません。信じていた人間に裏切られ、今でも誰も信じることができなくなりました。

Aの歪んだ笑顔と思い出の数々が、今も私の夢に出てきては私を苦しめ続けています。

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