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【怖い話|短編】会いにきた幽霊

会いにきた幽霊
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会いにきた幽霊

夏休み、小学5年生の勇太は、初めての一人旅で親戚の家に泊まることになった。都会のマンション暮らしの勇太にとって、古びた日本家屋での体験は、少しの不安と大きな期待が入り混じっていた。

期待と不安

「おばあちゃん、このお布団ふかふか!気持ちいいね!」

勇太は、畳の上に敷かれた布団に寝転がり、その感触を楽しんでいた。

「そうかい、よく眠れるといいね」

夜の帳が下りる

親戚のおばあちゃんは、優しい笑顔で勇太を見つめた。

夜になり、勇太は一人で奥の部屋に案内された。おばあちゃんは、「おやすみ」と声をかけ、襖を閉めて部屋を出ていった。

勇太は、布団に潜り込み、ワクワクしながら目を閉じた。しかし、しばらくすると、どこからか不気味な音が聞こえてきた。

「ミシッ、ミシッ」

それは、古い木造家屋特有の音とも思えたが、まるで誰かが忍び足で歩いているようにも聞こえた。勇太は、恐る恐る目を開け、薄暗い部屋を見回したが、何も見えなかった。

「気のせいかな…」

勇太は、再び目を閉じた。しかし、今度は、

「ガタッ、ガタッ」

という音が聞こえてきた。それは、まるで誰かが雨戸を揺らしているような音だった。勇太は、恐怖で心臓がバクバクと音を立て始めた。

「おばあちゃん…」

勇太は、小さな声で呼びかけたが、返事はなかった。

勇太は、布団にくるまり、必死に目をつぶった。すると、今度は、

「ヒュ~、ヒュ~」

という風が吹き抜けるような音が聞こえ、何かの気配を感じた。勇太は、勇気を振り絞って目を開けた。

すると、障子の向こうに、ぼんやりとした人影が浮かび上がっていた。それは、長い髪を垂らし、白い着物を着た女の人だった。女の人は、こちらをじっと見つめていた。

障子の向こうの影

勇太は、恐怖で声も出なかった。女の人は、ゆっくりと障子を開け始めた。勇太は、布団にくるまり、必死に息を殺した。

しかし、女の人は、障子を開ける途中で止まり、そのまま消えてしまった。勇太は、恐怖で震えながら、朝が来るのを待った。

朝になり、勇太は疲れ切った様子で居間へ向かった。おばあちゃんは、心配そうな顔で勇太に尋ねた。

「勇太くん、よく眠れた?」

勇太は、昨晩の出来事を話そうとしたが、言葉が出てこなかった。おばあちゃんは、勇太の様子を見て、何かを察したようだった。

「勇太くん、この家にはね、昔、悲しい出来事があったんだ…」

おばあちゃんは、勇太に、昔、この家で若くして亡くなった女性の話をしてくれた。そして、

夏の思い出

「もしかしたら、あの子が寂しくて、勇太くんに会いに来たのかもしれないね」

と、優しく微笑んだ。

勇太は、おばあちゃんの話を聞き、少しだけ安心した。しかし、あの夜の恐怖は、勇太の心に深く刻まれたままだった。

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