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【怖い話|短編】終電を逃した日

終電を逃した日
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終電を逃した日

あれは忘れもしない、大学1年の夏休みのことだった。実家の古い木造アパートで一人暮らしをしていた僕は、その日、バイトで遅くなり、終電を逃してしまった。タクシーに乗るお金も惜しかったので、歩いて帰ることにした。真夜中の道を歩きながら、少しだけ後悔していた。こんな時間に一人で帰るのは、少し怖いな、と。

終電を逃した夜

アパートに着くと、もう深夜2時を回っていた。汗だくの体をシャワーで流し、クーラーの効いた部屋でビールを一杯。生き返る心地だった。そのままベッドに倒れ込むと、すぐに深い眠りに落ちた。

どれくらい経っただろう。喉の渇きで目が覚めた。時計を見ると、まだ4時前。起き上がる気力もなく、ぼんやりと天井を見つめていた。その時、視界の隅で何かが動いた気がした。

目を凝らすと、部屋の隅に人影が見えた。暗闇の中でぼんやりと浮かび上がる白い姿。女の人? 幻覚か? 僕は恐怖で体が硬直した。

真夜中の訪問者

人影はゆっくりとこちらに近づいてくる。心臓がバクバクと音を立てている。息をするのも忘れるほどだった。

そして、人影はベッドの横に立った。白いワンピースを着た女の人だった。顔は暗くてよく見えない。ただ、長い黒髪が、まるで生きているかのように揺れているのがわかった。

女の人は何も言わず、ただじっと僕を見つめていた。僕は恐怖で声も出せない。逃げることもできない。

静寂の恐怖

どれくらい時間が経っただろう。女の人は、ゆっくりと背を向け、部屋の隅へと戻っていった。そして、そのまま消えてしまった。

僕はしばらく動けなかった。何が起きたのか、信じられなかった。夢だったのかもしれない。でも、あの恐怖はあまりにもリアルだった。

次の日、僕はすぐに実家に引っ越した。あのアパートにはもう二度と戻らなかった。あれは一体何だったのか。幽霊だったのか? それとも、僕の見た幻だったのか?

消えゆく影と残る恐怖

今でも時々、あの時のことを思い出す。真夏の夜の出来事は、僕の中で忘れられない恐怖体験として刻まれている。

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