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【怖い話|短編】揺れるブランコ

揺れるブランコ
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揺れるブランコ

僕の地元にも有名な心霊スポットがある。そこは一見すると普通の公園だが、誰も近寄らない遊具エリアが存在する。

色褪せた滑り台や、錆びついた鉄棒。どれも年季を感じさせるが、最近になって新しく入れ替わったようだ。しかし、その中で一つだけ、昔のままの姿を残しているものがある。それは、古びたブランコだ。

公園のブランコ

昼下がりの日差しが降り注ぐ中、そのブランコだけが不気味に揺れている。まるで誰かが座っているかのように、ゆっくりと、規則正しく。しかし、周囲には人影一つない。

ブランコの周りには、色とりどりの花が手向けられている。枯れた花は定期的に新しいものと交換され、いつも綺麗に咲き誇っている。まるで誰かが、ブランコに乗る少女のために手入れしているかのようだ。

勝手に揺れる

そのブランコには、悲しい過去がある。昔、幼い少女が交通事故で亡くなった場所なのだ。少女は事故当時、母親とはぐれて迷子になっており、この公園に辿り着いたという。しかし、母親を見つけられないまま、帰らぬ人となってしまった。

以来、ブランコは少女の霊が母親を待ち続ける場所として、地元の人々に語り継がれている。遊具が新しくなっても、ブランコだけは少女のために当時のままにしてあるのだ。

ある日、公園の管理人のおじいさんに話を聞いた。おじいさんは、少女の事故以来、毎日欠かさずブランコの手入れをしているという。

管理人のおじいさん

「あの子は寂しがり屋でね、いつもお母さんを待ってるんだ。だから、せめて綺麗な花を飾ってあげようと思ってね」

おじいさんの優しい眼差しは、まるで孫を見守るようだった。

夕暮れ時、公園には人気がなくなり、不気味な静寂が辺りを包む。しかし、ブランコの軋む音だけが虚しく響き渡る。それは、少女の悲痛な叫びなのか、それとも母親への切ない呼びかけなのか。

人気のない公園のブランコ

誰も知らない。ただ、ブランコは今日も揺れ続け、少女の魂は永遠にこの公園を彷徨い続けるのだろう。そして、おじいさんは、少女が安心して天国へ行けるように、ブランコの手入れを続けるだろう。

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