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【怖い話|短編】奇妙な自撮り

奇妙な自撮り
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奇妙な自撮り

最近、SNSで流行している「心霊自撮りスポット巡り」に興味を持った私は、友達と一緒にいくつかの場所を回ることにした。その中でも特に有名な場所として、廃墟となった古い病院があった。ネット上ではその病院で撮影した写真に、何者かの顔や手が写り込んでいるという噂が絶えず、挑戦者を惹きつけていた。

廃墟の病院

夜、私たちは薄暗い月明かりの下、その病院に足を踏み入れた。長年手入れされていない建物は、不気味な静けさに包まれていて、ただ歩くだけで床がきしむ音がこだました。廊下は崩れかけ、壁にはかつての医療記録らしき紙が散乱していた。錆びついた医療器具や車椅子も放置されたまま、廃墟らしい荒廃した光景が広がっていた。

私たちは、恐怖と興奮で心臓が高鳴りながら、写真を撮り続けた。何も起こらないはずなのに、どこからともなくひんやりとした風が吹き込み、髪がふわりと揺れるたびに、まるで誰かが見ているような視線を感じた。しかし、私も友達も、何も見えないと自分に言い聞かせて先に進んだ。

自撮りの瞬間

「ここで自撮りしよう!」友達が声を上げた。荒廃した廊下を背景に、私たちはスマホを構えた。怖さを紛らわすため、無理に笑顔を作ってシャッターを押した瞬間、背後で何かがカタッと音を立てた。驚いて振り返ったが、そこにはただの壊れかけた車椅子があるだけだった。私たちは「気のせいだよね」と言い合い、深く考えずにその場を後にした。

家に帰ってから、撮った写真を確認していた時、ふと違和感を覚えた。私と友達の間に、何かが写り込んでいる。よく見ると、それはぼんやりとした人影だった。頭を垂らし、目を閉じた白い服の女性の姿が、私たちの間に立っていたのだ。初めは信じられず、友達にその写真を送り確認を求めた。しかし、彼女は「ただの光の反射でしょ?」と一蹴し、特に気にしていない様子だった。

だが、その数日後、友達が突然音信不通になった。連絡を取ろうと何度も電話やメッセージを送ったが、まったく返事がない。心配になって彼女の家を訪れたところ、彼女の家族から「突然いなくなった」と知らされ、警察に捜索願が出されているということだった。

それからさらに数日が経ち、ある夜、私のSNSのタイムラインに友達のアカウントから新しい投稿が上がった。

家での写真確認

場所は、あの廃墟の病院だった。しかし、そこに写っていたのは友達一人だけではなかった。写真の背景には、私がかつて見たあの女性が、以前よりもはっきりと、友達のすぐ背後に立っていた。彼女の顔はまだはっきりとは見えず、目を閉じたままだが、今にも目を開けそうな雰囲気を漂わせていた。

消えた友達とSNS投稿

その後も、彼女のアカウントは定期的に更新され続けた。だが、その写真には、毎回同じ女性が写り込んでいた。徐々にその姿は鮮明になり、最後には友達と女性の顔が重なるようにして写っていた。まるで、彼女はその女性に取り込まれてしまったかのようだった。

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