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【洒落怖】カトブレパスの影

【洒落怖】カトブレパスの影

故郷の山々には古い伝説が息づいている。特に、私たちの村に伝わるのは「カトブレパス」という名の獣に関するものだ。その獣は、重く大きな頭を持ち上げることができず、常に地面を這うように移動するという。さらに、その獣の目に直接見つめられた者は、石に変わるか、あるいは命を落とすと言われていた。

あの夏の夜、私たちは村の外れにある広い野原でキャンプをしていた。星が瞬く美しい夜空の下、友人たちと怖い話で盛り上がっていた。そんな時、ふとカトブレパスの話が出た。私たちは笑いながらも、心の奥で不安を感じていた。でも、誰もがその話を真剣には受け止めていなかった。

ところが、夜が更けるにつれ、異変が起こった。私たちの一人が、突然姿を消したのだ。キャンプファイヤーの周りが静まり返り、友人たちの顔には恐怖の色が浮かんだ。私たちは懐中電灯を手に取り、暗闇の中、彼を探し始めた。

森の中を歩き回っていると、突然、地面を這うような不気味な音が聞こえてきた。音は重く、じっとりとした湿気を帯びていた。私たちは息をのみながら音の方向を見た。そこには、途方もなく大きな影が見えた。カトブレパスの影だ。

その影はゆっくりと、しかし確実に私たちに近づいていた。頭が不自然に低く、地面を這うように動いている。その瞬間、私たちは死と直面したと感じた。私たちの中には逃げる勇気もなく、ただ声も出せずに震えていた。

恐怖の中、どれほどの時間が経ったのかわからないが、やがてその音は遠ざかっていった。私たちは安堵の息をつき、夜が明けるのを待った。朝になり、無事だった友人が戻ってきたが、彼は夜中に何があったのか全く覚えていなかった。彼の顔には、何かを訴えかけるような、混乱した表情が浮かんでいた。

その夜以来、私たちは誰にもその出来事を話すことはなかった。しかし、私たちの心には深い恐怖と疑問が残った。あの夜、本当にカトブレパスに遭遇したのか?もしそうだとしたら、私たちはどれほど危険な目に遭っていたのか?友人が戻ってこなければ、私たちはどうなっていただろうか?

私たちはあの夜のことを決して忘れることはないだろう。山々に息づく古い伝説が、あの夜、現実のものとなったのかもしれない。

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