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【怖い話|短編】青白い囁き

青白い囁き
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青白い囁き

夏の陽射しが海面に反射し、ビーチ全体が金色に輝く中、麻里子と友人たちは無邪気に遊んでいた。彼らが訪れたこのビーチは、観光客がほとんど来ない、隠れた入り江の一角にある。白い砂浜が広がり、波は穏やかで、リゾート地の喧騒とは無縁の静寂が漂っていた。

日中はビーチバレーをしたり、海で泳いだりと、心地よい疲れが体に染み込んでいく。

ビーチでの楽しいひととき

夕暮れが近づくにつれて、空はゆっくりとオレンジ色に染まり、やがて紫がかった色合いへと変わっていった。そんな美しい光景の中、麻里子は一人でビーチを散歩することにした。

砂浜を裸足で歩きながら、彼女は波打ち際で貝殻を拾ったり、波の音に耳を澄ませたりしていた。まるで時間が止まったかのような静けさの中で、ふと遠くに何かが光るのが見えた。それはビーチの端にある小さな洞窟の入口だった。

その洞窟は、普段は波に隠れており、潮が引いたときだけ姿を現す場所だった。洞窟の中から放たれる青白い光が、麻里子の好奇心を掻き立てた。彼女は迷うことなく洞窟の中へと足を踏み入れた。

洞窟への好奇心

中に入ると、外の暑さとは打って変わって、ひんやりとした空気が彼女を包んだ。洞窟は奥に向かって細長く続いており、足元には砂と岩が混ざり合っていた。奥へ進むたびに、その青白い光が一層強くなっていくのが感じられた。

やがて、洞窟の奥で古びた木製の箱や朽ち果てた帆船の残骸が見えてきた。まるで長い間、誰にも発見されずにここに眠っていたかのようだった。その中でも、特に目を引いたのは古いランタンだった。ランタンは奇妙なことにまだ灯っており、その青白い光が洞窟内を淡く照らしていた。

麻里子は驚きと不安が入り混じった感情に襲われた。誰もいないはずの場所で、どうしてこのランタンが灯り続けているのだろうか。彼女がランタンに手を伸ばそうとしたその瞬間、背後からかすかな物音が聞こえてきた。それは波の音とも風の音とも違う、不気味な音だった。

洞窟内の不気味な発見

麻里子が振り返ると、洞窟の入口付近がかすかに揺らめいているのが見えた。目を凝らして見ると、何かが這いずるようにして近づいてくるのが見えた。それは、人間の形をした何かで、全身が海藻に覆われ、腐敗したような異臭を放っていた。

恐怖に駆られた麻里子は、洞窟の奥へと逃げ込んだが、その不気味な存在はゆっくりとした動きで確実に彼女に近づいてきた。彼女は洞窟内を走り回り、どこかに隠れられる場所を探したが、どこにも逃げ場はなかった。そして、ついにその存在が彼女のすぐ背後まで迫ったとき、足元に冷たい感触が広がった。

麻里子が恐る恐る下を見てみると、そこには骸骨の手が砂の中から伸びており、彼女の足首をしっかりと掴んでいた。彼女は必死にもがいてその手から逃れようとしたが、骸骨の手は驚くほどの力で彼女を押さえつけていた。麻里子は叫び声を上げようとしたが、声が出ない。

逃げられない恐怖

その瞬間、彼女の耳元で囁くような声が聞こえた。「ここからは逃げられない…」というその声は、まるで何百年もの間、誰かが待ち続けていたかのような執念を感じさせた。視界が暗転し、意識が遠のく中で、麻里子は最後に洞窟の天井に彷徨う青白い光を見た。

翌朝、友人たちは麻里子が戻らないことに気付き、彼女を探し始めた。しかし、洞窟にたどり着いた彼らが見つけたのは、古びたランタンと波に消えた足跡だけだった。そして、その洞窟は再び満ち潮により隠され、二度と彼女の姿を見ることはなかった。海の底から聞こえるかすかな囁きが、今もなお彼女の魂を縛り続けているかのように。

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