【洒落怖】終わらないヒッチハイク
この話は、ある夜道を走っていたトラック運転手の体験談から始まる。運転手は遅い時間にも関わらず、道路脇でヒッチハイクをしている若い女性を見かけた。彼女は寒そうにしており、運転手は思わず彼女を乗せることにした。
女性はあまり話すことはなく、ただ静かに座っていた。運転手は何度か会話を試みたが、彼女はほとんど反応せず、ただ前を見つめていた。不気味に感じ始めた頃、女性は突然、「ここで降ろしてください」と言った。
彼女が指差した場所は、ただの暗い森の中だった。運転手は戸惑いながらも車を止め、女性を降ろした。彼女は車から降りると、すぐに暗闇の中に消えていった。
その後、運転手は地元のカフェでその話をしたところ、店の人々は青ざめた。彼らは運転手に語った。実は数年前、その道路で若い女性が交通事故で亡くなっており、それ以来、彼女の幽霊がヒッチハイクをしているという噂があったのだ。
その女性の霊にまつわる話は、地元の人々の間でも特に悲しいものとして語られていた。彼女の名前はエマと言い、若くして地元の大学に通っていた才女だった。エマはいつも明るく、将来を嘱望されていたが、ある晩、恋人との喧嘩の後、深夜に一人で歩いていた際に悲劇が起きた。
彼女は交通事故に遭い、その場で命を落とした。この事故は地元でも大きなニュースとなり、多くの人々がその死を悼んだ。しかし、時が経つにつれ、彼女の存在は忘れられ、話題に上ることもなくなった。
トラック運転手がエマを乗せた夜、彼女は彼女が亡くなった場所に戻ろうとしていた。彼女の霊は、まるで自身の死を受け入れられず、あの悲劇の夜に何度も戻ろうとしているかのようだった。
運転手がエマを降ろした場所、それは事故現場とほぼ同じ場所だった。彼女が消えた森の奥は、まさに彼女が最後に立っていた地点だったのだ。
この話を聞いた運転手は、彼が見たのはただの幽霊ではなく、彼女の未解決の感情、未練が具現化したものだと感じた。彼は後に、エマのために事故現場に花を供えるようになった。しかし、それ以降、エマの霊を見たという話はなくなり、地元の人々は彼女がようやく安らかな眠りについたのではないかと話している。
コメント