【洒落怖】死者たちの灯台
15年前、私は遠出をして海釣りに行った際、忘れられない心霊体験をした。
その日は晴れ渡り、穏やかな海は釣りには最適な条件だった。しかし、その日の終わりには、私の人生に深い傷を残す出来事が起こるとは、想像もしていなかった。
海岸線に沿って船を走らせていると、ひとりの老漁師に出会った。彼は、私が釣りをしている海域には古くから「呪い」があると警告してきた。その話を聞いた時、私は半信半疑だった。
「怖い話が好きなんだね」と笑って返したのを覚えている。
老漁師は真剣な面持ちで、「この海には幽霊が出る。昔、海難事故で亡くなった漁師たちの霊が、まだこの世を彷徨っているんだ」と言った。その話を聞いても、私はまだ信じようとはしなかった。しかし、その夜、私の考えは一変することになる。
日が落ち、辺りは暗くなり始めた頃、突然、海の上に奇妙な光が現れた。それは、海難事故で亡くなったという漁師たちの霊が、灯台の光のように見えるものだった。その光は次第に強くなり、私の船の周りを囲むように動き始めた。そして、聞こえてきたのは、水面を叩くような音と、漁師たちの声のようなものだった。
恐怖で体が凍りつく中、私は船を急いで岸に向けた。
岸に戻ると、私はすぐに老漁師を探した。
彼は私を見て、ただ首を振るだけだった。「あの霊たちは、未だに海で起きた悲劇を忘れられずにいる。お前も今夜のことは忘れるな」と彼は言った。
その日以来、私は夜な夜な同じ夢を見るようになった。
海の上を彷徨う霊たちが私に何かを伝えようとしている夢だ。私は呪われてしまったのだろうか。
それとも、彼らはただ、自らの物語を語りたいだけなのだろうか。
老漁師の言葉を思い出すたびに、私は心の奥底で霊たちとの繋がりを感じる。彼らの声が聞こえるような気がする。私は、その体験を通じて、見えない世界の存在を強く意識するようになった。
しかし、解決への道は見えてこない。私の中の恐怖と疑問は今もまだ続いている。
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