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【怖い話|短編】あそぼうよ

あそぼうよ
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あそぼうよ

これは、私が高校生のときに実際に体験した、今でも思い出すと背筋が凍る話です。

その日は部活が長引いて、家に帰るのが夜の9時を過ぎてしまいました。

田舎の駅から家までは15分ほど歩くのですが、夜はとても暗く、街灯もほとんどありませんでした。そんな帰り道にある古い神社を抜ける近道があって、私はいつもそこを通っていました。

神社の参道

昼間はなんてことない神社なんですが、夜はなんともいえない不気味な雰囲気で、正直あまり好きじゃなかったんです。

でも、その日は疲れていたし、「早く帰りたい」という気持ちが勝って、いつものように神社の参道を歩きました。風が木々を揺らす音が耳に残り、足元は木の枝でゴツゴツしていて、足を踏み出すたびに「パキッ」「カサッ」と小枝が折れる音がします。

周りは真っ暗で、少しでも早く通り抜けたい気持ちで足を速めました。

半分ほど歩いたとき、突然背後で「カサッ」と何かが動く音が聞こえたんです。

思わず立ち止まって振り返りましたが、暗闇の中に動くものは見えません。「風かな…」と自分に言い聞かせ、再び歩き出しました。でも、数歩進んだところで、また「カサッ」という音が聞こえて、今度はさらに近くに感じました。

振り向いても誰もいない場面

怖くなって、無意識に歩く速度がどんどん速くなりました。それでも音は追いかけてくるように背後からついてくる。振り返りたいけど、何か見てはいけないものがいる気がして、恐怖が足を止めさせてくれませんでした。

すると、背後から小さな女の子の声が聞こえました。

「ねぇ、お兄ちゃん、遊ぼうよ…」

一瞬、耳を疑いました。今の声は、まさか…と振り返ると、そこには誰もいません。

ただ、月明かりが差し込む木立の向こうに、一瞬、白い影が見えたような気がしたんです。でも、よく見ようと目を凝らすと、影は消えてしまいました。

白い影が見える場面

頭の中は混乱し、恐怖で体が震えました。「今のは何だったんだ?」と必死で自分に問いかけながら、もう全力で走り出しました。息が切れて胸が苦しくなるまで走り続け、家の玄関に飛び込んだときには、体中が震えていました。

ドアを閉め、鍵をかけて、ようやくほっとしました。

でも、その夜、眠れなくなったのは当然でした。布団の中でじっとしていると、あの声が何度も頭の中でよみがえってきて、「本当に聞いたのか?」と自分に問いかけても、答えは出ません。深夜の2時ごろだったと思います。

ようやく少し眠気が出てきたその時、家の玄関のほうから「コンコン」と軽くノックする音が聞こえたんです。

「まさか…」

私は布団の中で体を硬直させ、耳を澄ませました。でも、またノックの音が聞こえてきて、そして、あの声がはっきりと耳に届きました。

「ねぇ、お兄ちゃん、開けてよ…」

心臓が凍りつくような思いでした。どうしてあの声が家までついてきたんだろう?

家族は寝ているはずだし、こんな夜中に誰かが訪れるなんてありえません。布団を頭までかぶり、必死にその声が消えてくれるのを祈りました。

「早く消えてくれ…お願いだから…」

でも、その声は執拗に玄関の向こうから続きました。

玄関のノック

「お兄ちゃん、遊ぼうよ…」と何度も繰り返されるその声が、まるで耳元でささやかれているように感じられました。やがて、ノックの音が止んだと思った瞬間、今度は家の周りを歩き回るような足音が聞こえてきたんです。

外を何かがカサカサと歩く音がして、まるで窓から覗き込もうとしているかのようでした。

それでも怖くて動けず、ただ布団の中で震え続けました。足音が次第に遠ざかるまでの時間が、まるで永遠のように長く感じられました。

朝になって玄関を見てみると、ドアには小さな泥のついた手の跡がくっきりと残っていました。まるで子供の手で、ドアを押していたかのように。でも、昨夜は雨も降っていなかったし、外にそんな跡がつく理由は思い当たりません。

家族に話しても、「夢でも見たんだろう」と取り合ってくれませんでしたが、あの手の跡は現実でした。

それ以来、私はどれだけ帰りが遅くなっても、あの神社を通ることはなくなりました。遠回りでも街灯のある道を使うようになりました。でも、夜、眠れない時、ふいにあの声が耳に蘇ることがあります。

「ねぇ、お兄ちゃん、遊ぼうよ…」

その声が聞こえるときは、どういうわけか、必ず決まって夜中にまた「コンコン」とノックが聞こえるんです。家の周りを誰かが歩き回る音も。そのたびに、布団の中で祈るように身を縮めるしかありません。

窓の外の影

もし、あの時、恐怖に負けて玄関を開けていたら、私はどうなっていたんだろう。あの女の子の影の正体は何だったのか、考えるたびに、絶望的な恐怖が心に染み込んでくるんです。

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