【洒落怖】洒落にならない怖い話『深夜の電話』
大学時代、私は郊外にある古いアパートで一人暮らしをしていました。
その日も、図書館で借りた本に囲まれて、試験勉強に没頭していました。
部屋は静かで、ただ時計の針の音だけが時間の流れを教えてくれていました。
深夜2時を過ぎた頃、突如として部屋の電話が鳴り始めました。
こんな時間に誰だろうと思いつつ、受話器を取りました。
「もしもし?」と声をかけると、向こうからはかすかな女性の声が聞こえてきました。
「助けて…」
という彼女の声は弱々しく、どこか遠くから聞こえてくるようでした。
私は
「間違い電話ですか?」と尋ねましたが、彼女は「いいえ、あなたの部屋に… 彼がいます」と答えました。
私の心臓は急激に高鳴り始めました。
一人暮らしの部屋に他人がいるはずがありません。
電話を切ろうとしたその瞬間、彼女は「彼があなたの後ろにいる」と言いました。
恐怖で体が凍りつきながら、ゆっくりと振り返ると、部屋の隅には人のような影が…。
しかし、よく見ると、それはただのコートがかかった椅子でした。
ホッとしたのも束の間、電話の向こうからは
「そうではない… 今、あなたのすぐ後ろに…」という声が聞こえてきました。
振り返る勇気が出ず、私は電話を切り、部屋の明かりを全て点けました。
しかし、部屋には私以外誰もいませんでした。
心臓がまだ高鳴っている中、私は警察に電話をしようかと考えました。
しかし、その時、再び電話が鳴りました。
恐る恐る受話器を取ると、今度は友人の声でした。
「大丈夫?今、お前のアパートの近くにいるんだけど、部屋の窓、全部ついてるけど…」
友人の声に少し安心し、彼に先ほどの電話のことを話しました。
彼はただちに警察に連絡し、私のアパートに来てくれると言いました。
警察が到着するまでの間、私はドアの鍵を二重にかけ、部屋の隅々を確認しました。
何も異常はないようでしたが、心のどこかで不安が渦巻いていました。
警察が到着し、彼らが部屋の中を調べている間、私は友人と一緒に外で待っていました。
警察は何も見つけることができず、おそらくいたずら電話だったと結論づけました。
しかし、その夜から私のアパートで奇妙なことが頻繁に起こるようになりました。
物音、見覚えのない影、そして時折耳元でささやくような声…。
それ以来、私は一人で夜を過ごすことができなくなりました。
結局、そのアパートから引っ越すことにしました。
しかし、あの電話の正体は今でも分かりません。
ただ、あの夜から、私は電話のベルが鳴るたびに背筋が凍るような感覚を覚えるのです。
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