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【怖い話|短編】氷の警告

氷の警告
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氷の警告

記録的な熱波が北極を襲い、観測史上最大の氷の融解を引き起こした。氷河の下に隠れていた太古の地層が露出し、世界中の研究者たちがこの未開の地へと調査に乗り出した。

調査チーム「クリオテック」は、ノルウェーのスヴァールバル諸島で驚くべき発見をした。氷河の下から、ほぼ完全な状態で保存されたマンモスの死骸が見つかったのだ。それは、太古の昔に絶滅したとされるケナガマンモスだった。

氷河の下の発見

この世紀の発見に沸き立つ科学界だったが、クリオテックのリーダー、エヴァ・ヨハンソン博士は、ある不安を抱えていた。マンモスの体内に、未知のウイルスが潜んでいる可能性があったのだ。

迫りくる危機

「永久凍土は、太古の微生物にとってタイムカプセルのようなもの。マンモスの中に、現代人には免疫のない病原体が眠っているかもしれない」

ヨハンソン博士の警告は聞き入れられず、マンモスの死骸は厳重に管理された研究施設へと輸送された。しかし、解剖作業中に悲劇は起きた。マンモスの体内から採取された組織サンプルから、未知のウイルスが空気中に漏れ出したのだ。

悪夢の始まり

感染は瞬く間に研究施設内を席巻し、研究者たちは次々と倒れていった。ウイルスは驚異的な感染力と致死性を持ち、有効な治療法は存在しなかった。

感染は研究施設を飛び出し、瞬く間に世界中に広がった。人々は高熱、呼吸困難、皮膚の壊死などの恐ろしい症状に苦しみ、社会はパニックに陥った。都市は封鎖され、経済は崩壊し、世界は未曾有の危機に直面した。

各国政府はワクチンの開発を急いだが、ウイルスの変異スピードは想像を絶する速さで、ワクチン開発は追いつかない。人類は、自らの好奇心と傲慢さによって、太古の脅威を解き放ってしまったのだ。

ヨハンソン博士は、隔離された研究所で一人、ウイルスの研究を続けていた。彼女は、マンモスの体内から採取したウイルスの遺伝子情報を解析し、ワクチンの開発にわずかな希望を見出していた。

残された希望

しかし、時間がない。ウイルスは進化を続け、さらに強力な病原体へと変貌を遂げようとしていた。人類は、自らの過ちを償うことができるのか。それとも、太古のウイルスによって滅亡の道を辿るのか。

氷に閉ざされた警告は、今、現実のものとなった。人類は、この危機を乗り越え、未来へと進むことができるのだろうか。

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