【洒落怖】爺ちゃんの言葉
爺ちゃんが昔口癖のように言っていたことがある。
「夜中に一人で山に入っちゃダメだ。山の神様に見つかって、連れて行かれるぞ。」
子供だった私は、そんな爺ちゃんの言葉を笑って聞いていた。
しかし、大人になった今、あの言葉の意味がようやく理解できるようになった。
ある日
私は、友人と二人で登山に出かけた。
登山道は整備されていて、特に危険な箇所もなかった。
しかし、山頂付近で突然、友人が体調を崩してしまった。
仕方なく、私は友人を置いて、一人で下山することにした。
夜道
下山道は、すでに暗闇に包まれていた。
懐中電灯の光を頼りに、一歩ずつ足を踏み出す。
しかし、次第に足元が怪しくなってきた。
いつの間にか、登山道から外れてしまったようだ。
恐怖
あたりは、静寂に包まれていた。
風の音だけが、不気味に響き渡る。
私は、恐怖で体が震えた。
…爺ちゃんの言葉が…
「夜中に一人で山に入っちゃダメだ…」
足音
突然、背後から足音が聞こえた。
振り返ると、そこには誰の姿もなかった。
しかし、足音は確実に近づいてきている。
…誰…?
私は、恐怖で声も出なかった。
光
その瞬間、前方から光が現れた。
誰かが、懐中電灯を持ってこちらに向かって来ている。
…助かった…!
私は、安堵の涙を流した。
老婆
光に導かれるように、私は老婆の前にたどり着いた。
老婆は、優しく微笑みながら言った。
「…大丈夫よ…もう…安全だから…」
不思議な力
老婆の言葉には、不思議な力が込められていた。
私の恐怖は、すぐに消えてなくなった。
下山
老婆の案内で、私は無事に下山することができた。
別れ際、老婆は私に言った。
「…山の神様は…優しい方なのよ…迷った人を…助けてくれるのよ…」
爺ちゃんの言葉の意味
爺ちゃんの言葉は、本当だったのだ。
山の神様は、人を連れて行くだけではない。
迷った人を、助けてくれることもあるのだ。
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