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【怖い話|短編】事故物件に潜む恐怖

K君が住み始めた事故物件
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事故物件に潜む恐怖

これは僕の後輩のK君の話です。

僕の家系には強い霊感があり、普通の人には見えないものが見えます。対照的にK君は霊感など全く信じておらず、いつも明るく、何事にも動じないタイプでした。

都会の生活に憧れるK君は最近、都心に近い事故物件に引っ越したと聞いて、少し心配になりましたが、K君自身はやはり、事故物件のことを全く気にしていない様子でした。

引っ越しの話を聞き心配していたのですが、バイトのシフトが中々一緒にならず会うこともなく1ヶ月ほど経ちました。そして、久しぶりにシフトが重なり顔を合わせた時、正直息が止まるかと思いました。

「久しぶり!」と笑顔で手を振るK君の背中にもたれるように中年男性の霊がしがみついて見えました。その男性の霊の顔は何かに怒っており、その怒りをぶつけるようにK君に何かを言っています。何を言っているのかは聞こえてきません。唇の動きから察するに

「オマエノセイダ」

K君の背中に憑いた霊

と何度も何度も言っている様でした。

引っ越しで気分も新たにしているK君に気がかりな話をするのはためらわれましたが、伝えるべきだと決心しました。「背中に見知らぬ男性がいる」「おそらく事故物件に住み始めたことが関係している」「その人は怒っていて、おまえのせいだと言っている」と。

彼は最初は驚いた様子を見せましたが、すぐにいつもの笑顔を取り戻し、「大丈夫だよ、気にしすぎだって」と軽く受け流しました。僕もそれ以上、このことを話題に上げるのはやめておこうと思いました。

その2日後です。K君が電車との接触事故に遭い、入院することになりました。幸い致命的な怪我はなく、骨折をしただけで済んだみたいでしたが、私は彼が心配でした。直感的に「あの背中の霊だ」と思ったからです。すぐに彼のもとを訪れました。病室に入るとK君の顔色は青ざめており、明らかに恐怖を感じていました。

「殺される。俺、殺されちゃうよ…」K君は震える声でそう言いました。何にそんなに怯えているのか尋ねると、事故の直前に起こった出来事を話し始めました。

震えている後輩

「家に帰ろうと思って駅に行ったんだ。ホームで電車を待っていたら、顔のすぐ前に中年の男性が現れたんだよ。”おまえのせいだ”って、怒りに満ちた声で言われて。びっくりして「うわっ!」って叫んだんだけど、そしたら急に何かに手を引っ張られるように線路に引き込まれそうになって。それで、電車に接触したんだ…」

K君の話を聞き、私は背筋が凍るような感覚を覚えました。

K君はその後、1週間ほど入院生活を送りました。そして、退院と同時に、彼は事故物件を解約すること決め、不動産屋へ向かいました。不動産屋の態度は奇妙に軽薄で、やけにニヤニヤしていたとのことです。

もしかすると、現在もこの部屋は貸しに出されているのかも知れません。

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