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【怖い話】蝕む音 Part 4

蝕む音

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目次

蝕む音 Part 4

魂の浄化

車を走らせ続け、高速道路に乗っていた。

疲労は限界に達し、恐怖心と混乱で頭はいっぱいだったが、あの怪物から遠ざかりさえすればという一心でアクセルを踏み続けた。後ろを確認するたびに、まだ何かが追ってきているような錯覚に襲われ、心臓が早鐘を打つ。道路はひっそりとしており、他の車もまばらだった。

サービスエリアに到着

やがて、高速道路のサービスエリアが目に入った。体力も精神力も消耗しきっていた私は、これ以上運転を続けることができず、サービスエリアに車を滑り込ませた。

駐車場には数台の車が停まっており、人の気配がある。私はようやく、少しだけ安心感を得ることができた。

車を降り、ぼんやりとフードコートに向かった。目の前の光景がぼやけるほどの疲れが全身にのしかかっていた。食事をする気力もなく、空いている席に腰を下ろし、深いため息をついた。今のところ、あの怪物が追ってくる気配はなかったが、心の中には未だに恐怖が渦巻いていた。

フードコートで疲れ切った主人公

座っていると、周囲の喧騒が次第に遠のき、私は一人きりであるかのような孤独感に包まれた。自分が今どこにいるのかすら曖昧で、現実感が薄れていく。

そうしていると、不意に肩に誰かの気配を感じた。「お疲れのようですね。」驚いて顔を上げると、そこには落ち着いた表情の年配の男性が立っていた。僧侶の装いをしたその男性は、私を見て静かに微笑んでいた。

「あなた、何か悪いものに憑かれていますね。」彼の言葉に私は息を呑んだ。

何も言っていないのに、どうしてわかるのか。彼は私が背負っているものを見抜いているようだった。言葉に詰まったままの私に、僧侶は席に座り、穏やかに語りかけた。

住職との出会い

「怨念のようなものがあなたに取り憑いているようです。しかし、安心してください。私が助けてあげます。」僧侶は静かにお守りを取り出し、私に差し出した。それは古びた木製の札で、見ただけで心が落ち着くような不思議な力を感じた。

彼はそれを私の手に乗せ、目を閉じて祈りを唱え始めた。

その瞬間、体の中に重くのしかかっていた何かが、ゆっくりと溶けていくような感覚を覚えた。肩の力が抜け、まるで長い間押しつぶされていた重圧から解放されるかのように、深い安堵が広がっていく。

僧侶が祈りを終えると、心の中にあった恐怖や不安は、驚くほど軽くなっていた。

「これで大丈夫です。」彼はそう言って微笑んだが、私の心はまだ完全には晴れなかった。確かに怪物の気配は消えたが、私の中には何かがまだ残っているような気がしてならなかった。

僧侶は私の不安を察したのか、「このお守りを持っていれば、もう大丈夫ですよ。安心して、新しい生活を始めてください。」と優しく語りかけてくれた。

住職による浄化

彼の言葉に少し心が軽くなったが、私はもうあの家に戻るつもりはなかった。あの怪物や異音が再び現れる恐怖に耐えることはできないし、住むにはあまりにも不気味すぎる場所だと感じた。

そこで私は、家に戻る代わりに転出届を出し、新しい場所での生活を始めることを決意した。

引っ越しの手続きは予想以上に早く進み、あの家との繋がりを完全に断つため、何の未練も残さずに引っ越しをした。新しい場所での生活は静かで、平和だった。

時折、あの夜の出来事を思い出しては不安が胸をよぎることもあったが、怪物や異音に悩まされることは二度となかった。

しかし、あの出来事が完全に過去のものになったわけではなかった。あの家での恐怖や、不気味な音、そして地下室での出来事は、私の心に深く刻まれ続けていた。何が起こったのか、なぜ私がそのような恐怖に巻き込まれたのか、その答えは結局見つからなかった。

引っ越しの決意

それでも、私は新しい生活を選び、今を生きることに決めた。住職に助けられたおかげで、ようやく平穏な日常を取り戻すことができたのだ。

詳しい場所は伏せるが、あの家はきっと今も関東の山間部のどこかに存在していると思う。これから引っ越しを考えている人は十分注意してほしい。

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