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【怖い話|短編】見知らぬ森の入り口

見知らぬ森の入り口
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見知らぬ森の入り口

会社で肝入りのプロジェクトがあって、2ヶ月ずっとプレゼンの事ばかり考えていた。ずっと働き詰めで体はボロボロ。それが、先週やっとひと段落ついたんだ。久しぶりの休暇だったので何をしようか色々考えたんだが、とにかくのんびりと過ごしたいと思い、地元のスパに出来た新設のサウナに足を運んだんだ。

とにかくのんびりと過ごすことしか考えていなかったので、計画なんて何もなかった。リラックスすることだけを考えていたんだ。しかし、そのサウナで恐ろしい体験をしたんだ。

サウナの入口

その日は朝から雨が降っていて、せっかくの休日なのに憂鬱な気分になったが、朝からスパで1日過ごすことにした。バスに乗り継いで向かったんだ。

スパにつくと、朝ということもあって空いていた。これならのんびり汗をかけると思い、さっそくサウナに入る事にしたんだ。サウナに入ってしばらくすると、気温が急速に上昇し始めた。汗でびっしょりとなり、ほどなくして熱さと息苦しさ覚えた。

ひたすら汗を垂らしながらじっと一点を見つめていた。体が浮くような感覚を覚えた瞬間、意識を失った。

目を覚ますと、見知らぬ霧深い森の中に立っていることに気づいた。木々は高く、空は暗く、どこか不気味な雰囲気が漂っていた。風が吹き、木々が低い声で唸っているような音がする。

霧深い森

サウナにいたはずの私はは状況を理解できず、恐怖と混乱の中、周囲を見回し頭をフル回転させ状況整理をしていた。不自然なほどに歪んだ木々の間から奇妙な形の影が動いているのが見えた。それらは人の形をしているようでありながら、何か違っていた。影が私に気づくと、異様な速さで私の方に近づいてきた。その恐ろしい形と動きに、叫び声をあげて逃げ出した。

霧の中をどれだけ走ったかわからないが、途中で古びた木造のサウナ小屋を見つけた。迷わず小屋の扉を開けて中に飛び込むと、中は驚くほど温かく、何故か安心感が漂っていた。急いで扉を閉め、息を潜めると、不思議なことに周囲の音がすべて消えた。

古びたサウナ小屋

しばらくして、勇気を振り絞り目を開けると、周りの景色がスパのサウナに戻っていたことに気づいた。何事もなかったかのように他の利用者がリラックスしている様子を目の当たりにし混乱した。

それから二度とサウナには行っていない。また迷い込んでしまいそうで。

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