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【怖い話|短編】潮騒の呪い

潮騒の呪い
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潮騒の呪い

豊かな自然と清らかな潮風に恵まれたこの土地には、古くから伝わる恐ろしい言い伝えがあった。それは、6月の満月の夜、海から聞こえる歌声に関するものだった。

潮騒に潜む恐怖

その歌声は、まるで海の底から響いてくるような、美しくも妖艶な旋律だった。しかし、その歌声には恐ろしい呪いがかけられており、聞いた者は必ず2週間以内に命を落とすという。村人たちは、この歌声を「潮騒の呪歌」と呼び、6月の満月の夜を「忌み月」と呼んで恐れていた。

忌み月には、村人たちは決して漁に出なかった。それは、呪歌を聞いて命を落とすことを恐れてのことだったが、同時に、海への畏敬の念を示すためでもあった。海は彼らにとって、生活の糧を与える場所であると同時に、恐ろしい力を秘めた場所でもあったのだ。

ある年の忌み月、都会から音響技師の青年がこの土地を訪れた。彼は、自然の音を録音するために村を訪れたのだが、村の言い伝えを聞き、呪歌を録音しようと考えた。村人たちは青年に忠告したが、彼はそれを無視し、満月の夜に一人で海岸へと向かった。

青年は、高性能な録音機材を持って海岸に立ち、呪歌を待ち構えた。

呪歌の旋律

やがて、静寂を破るように、美しい歌声が聞こえてきた。それは、まるで海の底から響いてくるような、神秘的で妖艶な歌声だった。青年は、夢中で歌声を録音し、満足げに村へと戻った。

しかし、次の日、青年は村人たちから冷たい視線を浴びせられた。彼らは、青年が呪歌を録音したことを知っていたのだ。青年は、村人たちの態度に不気味さを感じながらも、呪歌の録音を聞いてみた。すると、そこには、人間の耳では聞き取れないような、奇妙な音が混じっていた。それは、まるで海の生き物たちの声が、歌声に紛れ込んでいるようだった。

青年は、その奇妙な音に興味を持ち、さらに詳しく分析しようと試みた。しかし、分析を進めるうちに、彼は原因不明の体調不良に悩まされるようになった。

呪いの発動

耳鳴り、めまい、幻聴…。そして、満月の夜から2週間が経った日、青年は帰らぬ人となった。

青年の死後、彼の録音した呪歌は、村の祠に封印された。

封印された真実

村人たちは、二度と呪歌が聞かれることのないよう、祈りを捧げた。そして、彼らはその後も、忌み月には決して漁に出ることはなかった。

この土地には、今もなお、呪歌の言い伝えが残っている。そして、6月の満月の夜には、誰も海岸に近づくことはない。呪われた潮騒は、今もなお、この土地の人々を恐怖に陥れているのだ。

しかし、一部の人々の間では、呪歌は海の怒りを鎮めるための鎮魂歌であり、それを聞いた者は、海からの恵みを受ける代わりに、命を捧げる必要があるという説も囁かれている。

解かれぬ謎

真実は誰にも分からないが、呪歌の謎は、今もなお、人々の心を惹きつけてやまない。

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