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【洒落怖】死へのカウントダウン

【洒落怖】死へのカウントダウン

高校生の時、足を骨折して病院に入院した私は、相部屋になったSさんという人物と仲良くなった。

Sさんは、いつも穏やかで、しかし時折遠くを見つめるような表情をすることがあった。彼との会話の中で、ある夜、彼が私に不思議な話をしてくれた。

「毎晩、部屋の隅に黒い影が現れるんだ。でも、その正体が何なのかはわからない。」

Sさんの声には、恐れるというよりは、困惑が込められていた。

その影についての話を初めて聞いた時、私は心のどこかで震えを感じた。

それは、この世のものとは思えない、不可解な現象に直面しているような感覚だった。しかし、Sさん自身もその黒い影の正体については知らなかった。

彼はただ、それが毎晩彼のベッドの足元に現れ、しばらくすると消えていくと言った。

「恐怖を感じることはある?」私が尋ねると、Sさんは首を横に振った。

「不思議と、恐怖は感じないんだ。ただ、なぜ自分にだけ見えるのか、それが気になる。」

彼の言葉には、ある種の哲学的な好奇心さえ感じられた。

私たちはその後も、日々のささいな話題や夢について話し合った。そして、私が退院する日が来た時、Sさんとは連絡先を交換して別れを告げた。彼からは、「もし何かあったら、連絡してくれ」という言葉を残された。

退院後、私はしばらくの間、Sさんのことを思い出すことがあった。特に、彼が見たという黒い影の話は、私の心に強い印象を残していた。

半年後、私はSさんが亡くなったという知らせを受けた。その瞬間、私の心は悲しみでいっぱいになった。Sさんが最後までその黒い影の正体を知ることなく、この世を去ったという事実が、私を深く打った。

Sさんとの出会い、そして彼が見たという黒い影の話は、私にとって忘れられない経験となった。

それは、私たちの目に見えない何かが、確かに存在するという謎への興味を掻き立てるものだった。Sさんが見た黒い影が何であったのか、その答えはもうこの世にはない。

しかし、あの黒い影は、生きている人間が見て良いものではなかったのかも知れない。

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