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【怖い話|短編】黒い悪魔

黒い悪魔
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黒い悪魔

あの日、東京の街は地獄と化した。

それは、2025年8月15日、終戦記念日のことだった。朝からジリジリと照りつける太陽がアスファルトを溶かし、湿気を含んだ熱気が街全体を覆っていた。しかし、そんな夏の暑さなど、この後に起こる惨劇の前では取るに足らないものだった。

午後3時過ぎ、突如として空が異様な色に染まり始めた。それは、まるで誰かが絵の具をぶちまけたかのような、不気味な紫と緑が混じり合った色だった。不穏な空模様に気づいた人々は、足を止め空を見上げ始めた。

不穏な兆し

鳥たちは一斉に悲鳴を上げながら逃げ惑い、犬たちは恐怖で震えながら飼い主の足元に縋り付いた。

そして、ゴゴゴゴゴという地鳴りのような轟音が響き渡った。それは、まるで地の底から巨大な怪獣が這い上がってくるかのような、恐ろしい音だった。次の瞬間、黒い渦が空から姿を現した。それは、想像を絶するほどの巨大な竜巻だった。高層ビルをいとも簡単にへし折り、鉄骨をまるで爪楊枝のように捻じ曲げ、車を空中に放り投げる。その光景は、まるでこの世の終わりを告げるかのような、絶望的な光景だった。

黒い悪魔の降臨

私は、たまたま通りかかったデパートの地下駐車場に逃げ込んだ。しかし、地上では、竜巻の猛威が容赦なく振るわれていた。轟音と振動が地下にも響き渡り、私の心臓は破裂しそうだった。暗闇の中、人々の悲鳴や泣き叫ぶ声が聞こえ、恐怖で体が震えた。

地下駐車場での恐怖

どれくらい時間が経っただろうか。轟音は次第に小さくなり、不気味な静寂が戻ってきた。恐る恐る地上に出てみると、そこには変わり果てた街の姿があった。高層ビルは見るも無残な姿に変わり果て、道路は亀裂が走り、瓦礫の山と化していた。辺り一面に血の匂いが漂い、まるで戦場のような光景が広がっていた。

変わり果てた街

私は、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。あの美しい街並みが、一瞬にして地獄絵図と化したことに、ただただ言葉を失った。その後、救助隊や自衛隊が駆けつけ、必死の救助活動が行われたが、犠牲者の数は想像を絶するものであった。

あの日、私は、自然の驚異と人間の無力さを、身をもって体験した。竜巻は、一瞬にして日常を奪い去り、人々に深い傷跡を残した。あの恐怖は、決して忘れることはないだろう。

自然の驚異と人間の無力さ

この体験は、私にとって、自然への畏敬の念を新たにするきっかけとなった。そして、いつ起こるかわからない災害への備えの大切さを痛感した。

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