【洒落怖】山奥の古びた旅館
ある雨の降る夜、主人公の「私」は古びた山奥の旅館にたどり着いた。
旅館は見た目にもかなり古く、妙に静かだ。フロントには誰もおらず、しばらくすると背後から老婆が現れた。
老婆は「最後の一室ですわ」と言いながら鍵を手渡した。
部屋に入ると、どこか懐かしさを感じさせる装飾が目に入った。
しかし、窓の外を見ると、何故か雨にもかかわらず庭に一人の女性が立っているのが見えた。女性はこちらをじっと見つめていたが、目を離した瞬間に消えていた。
夜が更け、就寝しようとしたとき、廊下の奥から女性の笑い声が聞こえてきた。笑い声はだんだんと部屋の扉に近づいてくる。
私は唾を飲み込み、心臓の鼓動が速くなるのを感じながら扉の向こう側を凝視した。
しかし、扉は開かず、笑い声も突然止んだ。
不気味に思いながらも眠りについた私は、夢の中で再びその女性に出会った。
彼女は「あなたを待っていたの」と言いながら、優しく手を差し伸べる。しかし、その手が触れる寸前で目が覚めた。
翌朝、老婆に昨夜の出来事を話すと、老婆は青ざめて言った。
「その部屋は…本来、誰にも貸してはいけない部屋。昔、ある女性が…」と話し始めたが、その瞬間、背後から再び女性の笑い声が聞こえてきた。私たちが振り返ると、そこには誰もいなかった。
老婆は震えながら、「あの女性は、旅館で亡くなった未練がある霊。あなたに何か伝えたかったのかもしれません」と言い、深く頭を下げた。
私はその場を後にし、二度とその旅館を訪れることはなかった。
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