【洒落怖】廃墟となった遊園地
薄暗い夕暮れ時、A子は廃墟となった遊園地に足を踏み入れた。かつては子供たちの笑い声が響き渡っていた場所も、今は雑草が生い茂り、朽ち果てた遊具が不気味な影を落としていた。
A子は、カメラを片手に、懐かしさと好奇心を胸に園内を歩き始めた。錆びついた観覧車、色あせたメリーゴーランド、崩れかけたお化け屋敷…かつての賑わいが嘘のように、静寂が支配していた。
「…誰かいる…?」
A子は、恐る恐る声をかけた。しかし、返答はなかった。風の音だけが、虚しく響き渡る。
A子は、徐々に不安を募らせていった。なぜだか、視線を感じてならない。背後を振り返っても、誰もいない。
雑草に覆われた道を進むと、ひっそりと佇む一軒の小屋が現れた。A子は、その小屋に近づいていった。
…ギィ…
ドアがゆっくりと開いた。中は暗く、何も見えない。A子は、心臓が早鐘のように鼓動するのを感じながら、一歩ずつ小屋の中へと足を踏み入れた。
…ドサッ…
突然、背後から重い物音が聞こえた。振り返ると、そこには巨大な影が立っていた。
「…誰…?」
A子は、震える声で問いかけた。しかし、影は何も答えない。ただ、じっとA子を見つめている。
A子は、恐怖で体が硬直した。逃げようとにも、足が言うことを聞かない。
影は、ゆっくりとA子に近づいてきた。その度に、A子の心は締め付けられるように苦しくなった。
…もうダメだ…
A子は、絶望に打ちひしがれた。
その時、
「A子さん!?」
聞き覚えのある声が聞こえた。A子は、目を上げると、そこにはB男が立っていた。
B男は、A子の手を掴み、小屋から飛び出した。背後からは、影の怒鳴り声が聞こえてくる。
B男に連れられ、A子は遊園地を駆け出した。足元はぐらつき、息は上がり、心臓は飛び出しそうだった。
ようやく遊園地の出口にたどり着いた時、A子は後ろを振り返った。
…影は、出口の門のところで立ち止まっている。A子たちをじっと見つめていた。
B男は、A子をぎゅっと抱きしめた。
「大丈夫だよ、もう安全だから。」
A子は、B男の腕の中で、ようやく安堵の涙を流した。
…あの影は、何だったのだろうか…
A子は、今でもあの日の恐怖を忘れることができない。あの廃墟となった遊園地には、何か恐ろしいものが潜んでいる…
A子は、二度とあの場所には足を踏み入れるまいと誓った。
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