【洒落怖】座ると死ぬ椅子
私はいつものように、古びた骨董品店をふらりと訪れた。
この店は、何度足を運んでも新たな発見がある。不思議な魅力に満ちた場所だ。今日の目玉は、奥の隅にひっそりと置かれた古い椅子。店主はその椅子について奇妙な話をしてくれた。それは「座ると死ぬ椅子」として知られる呪われたアイテムだという。その言葉に心がときめいた。私はホラーとオカルトを愛する者。日常に潜む不思議や恐怖を求めてやまない。
しかし、その椅子の前で立ち尽くすと、理由もなく背筋が凍るような感覚に襲われた。まるで、その椅子が私を見つめ、何かを語りかけてくるようだった。
家に帰る道すがら、私の心はその椅子から離れなかった。なぜ誰かがその椅子に座ると死ぬのか、その謎が私を惹きつけた。調べが進むにつれ、その椅子がかつてある家族のものであったこと、そしてその家族に起こった数々の不幸な出来事が明らかになった。
椅子に座った者は不慮の事故や突然の病で命を落としていた。恐怖を感じつつも、私の好奇心は増すばかり。この椅子には、ただの偶然以上の何か、ある種の呪いが宿っているのではないかと確信し始めた。
ついに私は決心した。その椅子を自宅に持ち帰ることに。
周りからは狂気の沙汰と言われようとも、この謎を解き明かすことが私の使命だと感じたからだ。椅子を部屋の隅に置き、毎日それを眺めるうちに、ある変化に気づき始めた。
部屋の気温が不自然に下がることがあり、時折、説明のつかない物音が聞こえるようになった。そして、ある夜、その椅子に向かって話しかけた時、私は声なき声を聞いた。それは、過去にこの椅子に縛り付けられた魂の叫びだった。
この椅子と共に過ごした日々は、私に多くを教えてくれた。
恐怖とは、未知への扉を開く鍵であり、オカルトはその奥深い謎を解き明かすための灯だと。私はこの椅子に座ることはなかったが、それに触れ、その存在を感じることで、生と死、現世とあの世の境界に思いを馳せることができた。この椅子は私に、見えない何かが確かにこの世に存在し、それを理解しようとする努力が、我々の世界をより豊かなものにするということを教えてくれた。
呪われた椅子の物語は、一つの結末を迎えたが、私の探究心はこれからも尽きることはない。
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