【洒落怖】近畿地方のキャンプ場
夜が深まるキャンプ場で、友人たちと囲んだ焚き火の炎が僕たちの顔を照らしていた。空は星で埋め尽くされ、時折、枝が軋む音が静寂を破る。そんな夜、僕たちは怖い話をして過ごしていた。
「ねえ、本当にあった怖い話を聞きたい?」と、友人の一人が不意に話し始めた。みんなが興味深そうにうなずくと、彼は話を続けた。「ここからそう遠くない森の奥に、昔、行方不明になったキャンパーの話があるんだ。」
その話を聞きながら、僕は焚き火の炎に目を落とした。風が吹くたびに、炎が揺れて、不安が増すばかりだった。
「でも、そのキャンパー、実は…」彼の話はそこで突然途切れた。耳を澄ますと、遠くからかすかに人の声が聞こえてくるような気がした。「聞こえる?あれ…」
僕たちは一斉に周囲を見回した。声は次第にはっきりとしてきて、まるで僕たちのいる場所に近づいてくるようだった。それは、助けを求める叫び声に似ている。
「誰かいるのかな?」友人の一人が立ち上がり、声の方向に懐中電灯を向けた。だが、その光が捉えたのは、ただの森の暗闇だけだった。
僕たちは互いに顔を見合わせ、無言のまま決断を下した。助けを求める声の方へ向かうことに。森の中を進むにつれ、冷たい風が肌を刺し、不安が僕の心を支配していった。
やがて、僕たちは小さな空き地に出た。そして、その中央に、一つの古びたテントがぽつんと立っていた。「ここか…」友人の一人がつぶやいた。
僕たちはテントに近づき、中を覗き込んだ。だが、中には何もなく、ただの空っぽ。しかし、その時、背後から突然、重い足音が聞こえてきた。
振り返ると、そこには誰もいない。だが、足音は明らかに聞こえた。そして、その音は僕たちを取り囲むようにして、どこからともなく響き渡った。
恐怖で硬直したその時、友人の一人が「見て!」と叫んだ。振り向くと、空き地の反対側から、目を信じられないような光景が目に飛び込んできた。そこには、人影がぼんやりと立っている。しかし、その人影は地面に足をつけずに、ゆらゆらと揺れていた。
「逃げよう!」誰かが叫び、僕たちは恐怖に駆られて走り出した。背後からは依然として足音が追いかけてくるが、振り返る勇気はもうなかった。
キャンプ場に戻ると、僕たちは一言も話さず、ただ息を切らしていた。そして、その夜、僕たちは眠ることができなかった。何があったのか、誰にも説明できない。ただ、あの古びたテントと、空き地で見た人影のことを考えると、今でも気が狂いそうになる。
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