【洒落怖】強く握られた手の跡
私の人生を変えた出来事は、都内のとある交差点で起こった。
その日は何の変哲もない、ごく普通の夜だった。私は友人との飲み会からの帰り道、いつものようにその交差点を渡ろうとしていた。
「気をつけて渡ってよ。ここ、事故が多いんだって」と友人が言ったのを覚えている。彼女の言葉を軽く受け流し、私は信号が青に変わるのを待った。そして、歩行者用の信号が点灯した瞬間、私は足を踏み出した。
その時、私の腕を何かが強く引っ張った感覚があった。
振り向くと、そこには誰もいなかった。しかし、その引っ張る感覚はますます強くなり、私は思わず道の真ん中で立ち止まってしまった。
その瞬間だった。耳をつんざくようなタイヤの音と共に、強烈な衝撃が私を襲った。意識が遠のく中で、私は自分が車にはねられたことを理解した。
事故から数日後、目が覚めた時私は病院のベッドにいた。
病院で私が目にしたものは、ただの傷跡ではなかった。壊死してしまった右足には、手で強く握られたような跡がはっきりと残っていたのだ。
それは五本の指の形をしており、まるで誰かが最後の瞬間に私の足を掴んだかのように見えた。
その跡を見た時、私は事故の時に感じたあの引っ張られる感覚を思い出した。
それはただの幻覚や錯覚ではなく、亡くなった女性の霊が私に触れた証拠なのかもしれない。その痕跡は、私が体験した超自然的な現象の恐ろしい証明であり、同時に、私が生きていることの証でもあった。
その後、私は足を失うことになったが、その体験は私に深い影響を与えた。
壊死した足に残された手の跡は、私がこの世界とは異なる、見えない世界と接触した瞬間を物語っている。それは私にとって、忘れられない恐怖と同時に、この世には説明できない多くの事が存在することの証明だった。
今でも、私はあの交差点を避けて通る。
そして、あの手の跡を見るたびに、私たちはこの世界だけではなく、別の何かとも繋がっているのだということを思い出す。それは恐ろしい体験だったが、私にとって重要な教訓となった。
見えない力を侮ってはならない、そして、私たちの周りにはまだまだ解明されていない謎があふれているのだということを。
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