まとめトピックスでは、現在読みたいお話しのジャンルを募集しております。ぜひともお問合せよりご連絡ください。こちらから投稿

【洒落怖】廃校の階段にて

【洒落怖】廃校の階段にて

夏の終わり、ある廃校を訪れることになった。

友人たちとの都市伝説探索が趣味で、この日は特に有名な廃校の階段に挑むことに。言い伝えによると、その階段を上がるときに数を数えると、最後には必ず一段余分に数えるという。その余分な一段が、この世とあの世を繋ぐポータルのようなものだと噂されていた。

息を切らせながら、僕はその階段を見上げた。

夕暮れ時、廃校全体に漂う静けさが、何とも言えず不気味だった。友人たちはすでに階段を上り始めていたが、僕は一歩を踏み出すのに躊躇った。不安を振り払うように深呼吸をし、一段目に足を踏み入れた。

階段を上がるたび、木造の古い建物特有のきしみ音が響いた。

友人たちの笑い声や話し声が、どこか遠くで反響するようだった。しかし、数段上がるごとに、その音は徐々に遠のいていくように感じられた。

僕は不安を抱きながらも、一段、また一段と数を数え続けた。

そして、最後の段に差し掛かったとき、僕の心臓は跳ね上がった。

数えた段数が、実際にあるべき段数よりも一つ多い。息を呑んで後ろを振り返ると、そこには何もない。

ただ、ふとした瞬間、冷たい風が肌を撫でた。僕は恐怖で息が詰まり、身動きが取れなくなった。

「誰かいるのか?」

僕は小さな声で囁いた。しかし、返事はない。ただ、階段の上の方から、ぼんやりとした人影が見えた。その影はゆっくりと僕に近づいてくる。僕は恐怖で震えながらも、その場から逃れようと後ずさった。しかし、足がもつれて転びそうになる。息は荒く、心臓の鼓動だけが耳に響く。

そのとき、友人たちの声が遠くから聞こえてきた。彼らは僕を探していた。

しかし、僕は声になる言葉を見つけられず、ただ無言で人影を見つめていた。人影は、まるで霧の中に消えるように、徐々に姿を消していった。

友人たちに助けられ、僕たちは廃校を後にした。あの日以来、僕は廃校の階段について語ることはなかった。何が真実で、何が幻だったのか、答えは見つからない。ただ、あの階段で体験した恐怖だけが、僕の心に深く刻まれた。

息を整えながら、僕は今もあの日のことを思い出すたびに、不思議と心がざわつく。

あの廃校の階段には、本当に何かが存在したのだろうか。それとも、全ては僕の想像の産物だったのだろうか。理由はわからない。

しかし、あの日、僕は確かに何かと向き合った。そして、その何かは今でも僕の中に残り続けている。

Feature

特集カテゴリー

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次