【洒落怖】悪魔の草
ある日、僕は友人から珍しい植物の種をもらった。
彼はそれを「悪魔の草」と呼び、奇妙な伝説があると言っていた。
種は黒く、触ると不気味な冷たさを感じた。
好奇心から種を庭に植えたが、それが後悔の始まりだった。
翌朝、種は異常な速さで成長し、見たこともない植物が庭を覆っていた。
植物は日々成長を続け、周囲の生き物が次々と姿を消し始めた。
近隣のペットが行方不明になり、夜には植物から奇妙な声が聞こえるようになった。
調査するうちに、「悪魔の草」に触れたものは呪われ、不幸が訪れるという伝説を知った。恐怖を感じ始めた僕は、植物を抜こうと試みたが、触れるたびに強烈な頭痛に襲われ、抜くことができなかった。
日が経つにつれ、植物は家を覆い始め、家の中からも蔓を伸ばしてきた。
僕の健康も急速に悪化し、夜な夜な悪夢にうなされるようになった。
悪夢の中で、植物が話しかけてくる。
「お前は私たちを呼び覚ました。代償を支払う時が来た」と。
翌日、僕は植物学者と呪術師を含む専門家を集め、植物の調査と対策を始めた。しかし、植物はあらゆる物理的、化学的な攻撃に耐え、むしろそれによってさらに成長を加速させるかのようだった。
専門家たちは次々と諦めていったが、呪術師だけが残った。
彼は「悪魔の草」を封じるためには、古い儀式を行う必要があると言った。儀式は危険を伴い、僕自身も大きな犠牲を払うことになるかもしれないと警告された。
しかし、もはや後戻りはできない。僕は儀式を進めることを決意した。
儀式の夜、僕たちは植物が最も密集する庭で陣を敷いた。
呪術師は古代の言葉で呪文を唱え、僕は彼の指示に従って植物に血を滴らせた。すると、突如として植物から強烈な光が放たれ、一瞬にして全てが灰に変わった。しかし、その瞬間、僕の体からも力が抜けていくのを感じた。
儀式の後、僕の健康は奇跡的に回復した。
しかし、その代償として僕は何か大切なものを失ったような感覚が拭えなかった。庭は再び平和を取り戻し、悪魔の草の痕跡は何も残っていなかった。この経験から僕が得た教訓は、好奇心が時には危険を招くこと、そして自然界には理解を超えた力が存在することだった。
「悪魔の草」の伝説は、僕の経験を通してさらに一つの警告となった。
人々には、未知のものに対する尊重と慎重さが求められる。僕は二度と過ちを繰り返さないと心に誓った。
そして、もし誰かが同じ過ちを犯そうとするなら、僕は全力で止める。悪魔の草は、僕の人生において忘れられない教訓となった。
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