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【洒落怖】閉ざされた部屋の住人

【洒落怖】閉ざされた部屋の住人

新しいアパートに引っ越して最初の夜、私は壁の向こうから微かな音を聞いた。

最初は隣人の物音だと思ったが、そのアパートには私の部屋の隣には何もないはずだった。管理人はその音について尋ねると、避けるような目をした。私の好奇心は、その時、既に不穏な物語の扉を開けてしまっていた。

音は毎晩続いた。
壁を叩くような、時にはささやくような…。

管理人に再度問いただすと、漸く観念したかのように彼は口を開いた。

「その部屋は、もう何年も前に封鎖された。話を聞きたいか?」と。

彼の話によると、かつてその部屋に住んでいた住人が謎の失踪を遂げ、以来、その部屋は「忘れられた部屋」として扱われ、封印されたのだという。

その部屋からの音は一向に止む気配はなかった。夜な夜な、まるで誰かが助けを求めているかのように。

私はその忘れられた部屋についての情報を集め始めた。地元の図書館で新聞のアーカイブを調べ、インターネットでその部屋にまつわる噂を追った。やがて、私はその部屋に隠された暗い過去と、それに絡む一連の不幸な出来事にたどり着いた。

どうやら、その部屋の住人が失踪する前、彼は奇妙な行動を取り、近隣住民からは「呪われている」と避けられていたようだった。

私の調査は深まる一方で、その部屋への興味は恐怖に変わっていった。

ある晩、勇気を振り絞り、その部屋の前まで行ってみることにした。
ドアは厚い鎖で固く縛られていたが、鍵穴から中を覗くと、部屋は意外にも普通の住居と変わらないように見えた。

しかし、その晩から、事態は急転直下する。

部屋からの音はより一層激しくなり、私の部屋にまでその影響が及ぶようになった。物が勝手に動いたり、不可解な寒気が部屋を覆ったりするようになった。最悪なのは、夜中に目を覚ますと、壁の向こうから私の名前を呼ぶ声が聞こえるようになったことだ。

それでも私は封鎖された部屋の秘密を解き明かすべく、さらに調査を進めた。
失踪した住人の遺族に接触を試み、彼らから話を聞き出しせたんだ。

失踪した住人は、部屋に潜む「何か」に取り憑かれていたという。

彼はその存在と対話し、やがて自らを失っていったのだという。
そして、その「何か」は今もなお、部屋に留まり続けている。

私の心は恐怖で満たされたが、真実を知ることへの渇望はそれを上回った。
私は専門家を連れて、その部屋の調査をすることに決めた。

霊能者、心霊研究家、そして勇敢な友人数人。
私たちはその部屋の封印を解き、中に踏み込んだ。

部屋の中は冷たく、空気は重かった。
そして、私たちはその「何か」の存在を感じ取った。

調査の夜、私たちは部屋の中央に円を描いて座り、霊能者によるセッションを開始した。
空気が震え、温度が急激に下がる中、私たちはその「何か」とのコンタクトを試みる。

すると、部屋は突然の力によって揺さぶられ、私たちは恐怖に震えた。
声、物音、そして視界を覆う影。私たちはその部屋に封じられた怨念と直面していた。

その夜、私たちは何とか部屋から脱出した。

しかし、私たちが経験したことは、誰もが理解できるものではなかった。

部屋は再び封印されたが、私はその部屋と、そこに潜む存在についての調査を止めることができなかった。事件は未解決のままで、その部屋の真実は依然として闇に包まれている。

私は今も、夜中になると壁の向こうから声が聞こえる。

それは私を呼んでいるのか、それとも新たな犠牲者を求めているのか…。

しかし、一つだけ確かなことは、その部屋の物語はまだ終わっていないということだ。

私は、その声に応えるべきか、それともこの恐怖から逃れるべきか、日々葛藤している。
しかし、私の中にはまだ、真実を知りたいという強い願望が残っている。

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