携帯電話
普通の一日、アキラは公園で散歩をしていた。彼はベンチに座り、少し休憩をとったところ、隣のベンチに携帯電話が置き忘れられているのに気づいた。誰かが忘れたのだろうと思い、アキラはその携帯を手に取り、持ち主を探そうとした。
携帯を見ると、バッテリーはほぼなく、ロックもかかっていなかった。アキラは連絡先リストを開き、最近の履歴に「ママ」と表示されている番号を見つけた。彼はその番号に電話をかけて、携帯の持ち主を探すことにした。
電話がつながると、年配の女性の声が聞こえた。アキラは状況を説明し、携帯電話を見つけたことを伝えた。しかし、女性の反応は予想外だった。「あの携帯はもう必要ありません。捨ててください」と彼女は言った。
アキラは困惑しながらも、女性の言葉に従い、携帯を近くのゴミ箱に捨てた。しかし、彼の心には疑問が残った。なぜ女性は携帯を捨てるように言ったのか。
消えた同僚
会社員のユウキはある日、同僚のタカシが突然仕事を辞めたことを聞いた。タカシは優秀で社交的だったため、誰もがその突然の退職に驚いた。ユウキはタカシと仲が良かったので、彼の連絡先にメッセージを送ったが、返信はなかった。
数日後、ユウキは会社の古い写真を見ていたとき、ある写真に目を留めた。そこには若い日のタカシと見知らぬ人物が写っていた。興味を持ったユウキは、その写真を会社の古株に見せて尋ねた。しかし、誰もその見知らぬ人物を覚えていなかった。
不思議に思いながらも、ユウキはそのことを忘れかけていた。しかし、ある日、ふとしたことから、会社の創業者に関する資料を手にすることになった。そこには驚くべき事実が記されていた。創業者の息子であるタカシは、若くして亡くなったというのだ。
混乱しながらもユウキはさらに調べると、タカシが亡くなったのは20年前のことで、写真の中の見知らぬ人物はタカシの父親だと分かった。しかし、ユウキはこの20年間、タカシと一緒に働いていた。
ユウキは、同僚や上司にタカシのことを尋ねたが、誰もタカシのことを覚えていなかった。まるで、タカシはこの世界から消え去ったかのようだった。
電話
サトシは普段通りの夜、家でくつろいでいた。突然、彼の携帯電話が鳴り、見知らぬ番号が表示された。好奇心から応答すると、向こうからは年配の女性の声が聞こえた。彼女はサトシの名を呼び、何度も「ありがとう」と繰り返した。
戸惑いつつも、サトシは彼女が誰なのか尋ねた。しかし、女性は「あなたが私の孫にしてくれたことを感謝しているの」とだけ言い、電話は切れた。
サトシはこの謎の電話を忘れようとしたが、翌日、母親からの電話で衝撃的なニュースを聞く。彼の祖母が前日に亡くなっていたことが分かったのだ。
サトシは混乱しながらも、母親にその謎の電話の話をした。母親は驚き、サトシに祖母が最後に言った言葉を教えた。「孫のサトシに感謝の言葉を伝えてほしい」と。
サトシは震える手で携帯を見つめた。あの電話は、亡くなったばかりの祖母からの最後のメッセージだったのだ。しかし、それがどうして可能なのか、答えは得られなかった。
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