【洒落怖】途切れた再会
大学の春、僕は信じられない光景に出くわした。
校舎の隅で見つけたのは、小学生の頃に心を奪われた美咲だった。
彼女は僕たちが卒業と同時に引っ越してしまって以来、連絡も取っていなかった。
だからこそ、彼女が同じ大学にいるなんて、運命を感じずにはいられなかった。
美咲は昔と変わらず、病弱そうな容姿をしていたが、その瞳は昔よりも深く輝いていた。
僕たちはすぐに仲を深め、時を忘れて過ごした。
彼女とのデートは、僕の日々を明るく彩った。
しかし、幸せな日々は長くは続かなかった。
交際して半年が経った頃、美咲は突然「別れよう」と言い出した。
彼女の瞳には悲しみが浮かんでいた。
僕は理由を聞こうとしたが、美咲は何も語らず、ただ静かに去っていった。
その後、僕は美咲の親友から衝撃の事実を聞かされた。
美咲は小学校を卒業して半年後、持病が悪化して亡くなっていたというのだ。
僕の心は凍りついた。
でも、それなら彼女と過ごしたあの時間は一体何だったのだろうか。
夜な夜な、僕は美咲の面影を追いかけてキャンパスを歩いた。
でも、もう彼女の姿はどこにもなかった。
ただ、風が吹くたびに、彼女の声のようなささやきが聞こえる気がした。
僕は今でも信じている。あの日々は夢ではなく、本当に美咲と過ごした時間だったと。
美咲との別れから数週間後、僕は彼女の実家を訪れる決心をした。
彼女がこの世にいないことを受け入れるため、そして何より、彼女への感謝の気持ちを伝えるために。
彼女の家に着いたとき、不安で足が震えた。
ドアを叩くと、美咲の母親が出迎えてくれた。
僕が美咲のことを知っていると知ると、彼女の母は涙を浮かべながら僕を家に招いた。
僕は美咲の部屋に案内され、そこには彼女の遺影が飾られていた。
僕は静かにお線香をあげ、心の中で美咲に別れを告げた。
美咲の母は、僕にコーヒーを出しながら、「美咲は小さい頃からずっと君のことを好きだったのよ」と教えてくれた。僕の心は一瞬で温かくなり、同時に激しい切なさで溢れた。
僕たちの再会は、もしかしたら美咲の最後の願いだったのかもしれない。
家を後にするとき、僕は美咲に心からの感謝を伝えた。
彼女が僕の人生に与えてくれた光を忘れることはないだろう。
美咲の存在は、僕の心の中で永遠に生き続ける。
彼女との時間は短かったけれど、その価値は計り知れない。
別れはあったけれど、愛は永遠に続く。
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