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【洒落怖】深淵のささやき

【洒落怖】深淵のささやき

昔からの伝承が色濃く残る小さな村の近く、深い森の中に隠された古井戸がありました。この井戸は、地元の人々の間では「忘れられた井戸」と呼ばれ、恐怖と神秘に包まれていました。伝説によれば、井戸の底からは夜ごとに不気味なささやきが聞こえ、聞いた者は不幸な運命に見舞われると言われていました。

ある秋の夜、好奇心旺盛な大学生グループがこの伝説に魅了され、森へと足を踏み入れました。彼らは、都市伝説を追い求める冒険心から、井戸の真実を確かめるためにやってきたのです。月明かりの下、彼らはキャンプを張り、夜の静寂を楽しみながらも、心の奥では井戸からのささやきを待ちわびていました。

深夜、森は霧に包まれ、不気味な静けさが漂い始めます。突然、耳をつんざくような静寂の中から、か細いささやきが聞こえ始めました。最初は誰もがその声を風の音か何かの幻聴だと思っていましたが、次第に声がはっきりと聞こえ、明瞭な言葉になっていきました。

「来て… こちらに来て…」

好奇心に駆られた一人の学生、カズが井戸を覗き込むと、その瞬間、彼の足元が崩れ、悲鳴を上げながら井戸の中へと落ちていきました。仲間たちは恐怖に震えながらも、彼を救出しようと叫び、井戸の淵に集まりましたが、井戸からはカズの声も、彼を掴んだ何かの音も聞こえてきませんでした。

翌朝、警察と救助隊が現場に到着しましたが、彼らが見つけたのは、井戸の底が異常に深く、まるで底なしのように見えることでした。救助隊は懸命に捜索を行いましたが、カズの痕跡は一切見つからず、彼はまるでこの世から消え去ったかのようでした。

この出来事以降、その井戸からのささやきは二度と聞こえることはありませんでした。しかし、行方不明になったカズのことも、時間と共に人々の記憶から薄れていきました。今でも、深い森を訪れる者は、不吉な伝説を思い出し、恐れを抱きながら井戸を避けて通ります。井戸の底からは、もしかすると今も何かが彼らを呼んでいるかもしれません。森の霧が濃くなる夜、遠くから聞こえるかもしれないそのささやきは、次の犠牲者を待ち受けているのかもしれません。

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